第八章


手掛かり


花園の電話指示に従って表参道へと出向いていた草野とあずみ。その道中で草野は宝石店で受け取った袋を手に持っている。

草野

参ったな、こんなトコ職場のヤツラに見られたら疑われるな、君と俺の関係

あずみ

キモーい。何でこんな寒いのに車じゃないの?

草野

近所だし、ここら辺停めるトコないからさ。何よりパトカーは目立つから嫌いだ

あずみ

あっそ。言っとくけどその指輪、あーちゃんへのプレゼントだから!だって直ちゃん、前に約束してくれたもん

草野

わからないよ?特にメッセージも無かったみたいだし具体的にそんな事書いてないからね

あずみ

もう形見になっちゃったから開けるもん!

袋を取り上げて箱をあけようとするあずみ。その手を止める草野。

あずみ

何するの、エッチ

草野

覗き野郎はお前の方だろ?それにあいにくこっちの上司はまだ健在なんだ。そのままアパートに持ってこいとの命令なんでね

後藤デザイン事務所の前に辿り着いている二人。

あずみ

もう誰も警察の人いないんだね

草野

実はあのあとすぐ花園警部が全員署に返したんだ。もう事件はもう解決に向かっているから。あとは私と草野ちゃんに任せて下さる!?って

あずみ

え、どういうこと?

草野

実は俺も君とおんなじ。お遣いを頼まれただけで詳しい事は何も聞かされてないんだ


直也の書斎にやってくる草野とあずみ。

草野

俺、推理とか苦手だからよくわかんないけど、どうやら花園警部が言うには奥さんが犯人らしい

あずみ

真希子さんが!?どうして…!まさかあーちゃんと直ちゃんの事知って…

草野

そういうことなのかね。俺、人の気持ちってよくわからないから何とも…ただ、答えはこの部屋の中にあるって


夜の青山通りを外れて坂を下った所にひっそりとある喫茶店“風花”。店を覆い隠すくらい大量の手入れされた植物。やってくる花園と真希子。

真希子

素敵なお店。こんな長く青山に住んでるのに全然知らなかったわ

花園

ガーデニング世界一の方がオーナーのお店でね。私の隠れ家。見た目通りジャングルな感じでね(笑)今はバータイムかしら

真希子

また飲んじゃいますか?

花園

当然、お酒は百薬の長よ、うふふふふ~

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