寒冷の大地アルス。
その東部に広がるヒューク砂漠は、降雪も見られる極寒の地域だ。点在するオアシスは凍てつき、本来の用を成さない。
アルスの中央に存在する王都フィ・アルサスは、王族も街もかつての栄華を失い、活力のない日々を送っていた。
アルスの地には、太古から伝わる妖精の伝説がある。
砂漠のどこかにある白銀のオアシスに生息するという妖精。その生き血は難病を治癒し、不老不死をもらたすという。
一説には、人はかつて妖精と手を取り合って幸福な時を過ごし、またある時は妖精をめぐって戦乱を起こしたと言い伝えられている。
だが、確たる記録は残っていない。