石ノ宮中学(いしのみやちゅうがく)
校門前

おはよう。ソノ

おーはー。アヤノ

二人共おはー

まったくいつも通りだな

そうね。昨日は大変だったから

超面倒だったな

くーもお腹すいて大変だったよー

いや、それは違うだろ

……

いや、本気で心配するなよ

うー、もうアヤノちゃん酷いー

酷いのはくーの頭だけどね

どちらにしろ酷いわ

ふふ。それじゃ、行くわよ

はー、じゃあ、少子化待ったなしの我等の学び舎に行きますか

・・・何言ってるの?

だから真顔はやめろって

そんな、くだらない会話をしつつ私達は教室に向かったのだった

元2年3組 教室

とうちゃくー

おはようございます

おはようー

……

おはー

うーす

相変わらず赤毛は無視か

私達が昨日と同じ席に座って少しすると
赤毛じゃない方の子が話かけてきた

おはよ。昨日は自己紹介してなかったよね。ごめんなさい

あ、別にいいのよ。慌しかったものね

本当な

急がしかったよー

改めて、はじめまして。私は比佐成優人(ひさなりゆうと)っていうの。よろしくね

ゆうと?へー男みたい

男の子だねー

そうね。でも、ずっとこの名前が好きだったから思いきって付けたの。だから名前で呼んでね

そう、よろしくね、優人。私は綾乃女です。アヤノって呼ばれてるわ

私は疎内…あ、そういえば昨日から夢って名前が付いてたな。まぁ、ソノでいいよ

くーでーす!

ふふ。アヤノ、ソノ、くーちゃん…か。よろしくね!

よろ

はい。よろしく

よろろー

ありきたりな自己紹介を終えると
適当な世間話にシフトした

え?じゃあ、ソノ達はみんな同じクラスからこのクラスに移動してきたの?

そうだよ。優人は違うの?

前に居たクラスからは私一人だけね

マジか。てっきりあの赤毛と一緒かと思ってたよ

赤蘭さん(あから)ね。彼女とはこのクラスで初めて会ったの。名前は聞いたけど教えてくれなかった…

へーあからって言うんだ。変な苗字だな

・・・・

ソノ。失礼よ

聞こえる声で言ったつもりだが赤毛こと赤蘭は
やっぱり無視だ。ガンシカトだ。

ソノちん口悪い

だれがソノちんだ

ふふ。彼女は私が来た時からあんな感じだったよ。人見知りなのかもね

そんないいもんじゃねーだろ?明らかに悪意感じるわ

あら、そう?私も別に悪意は感じないわ。大人しいだけよ。きっと

くーもべつにー

お前は興味ないだけだろ…

仲良くなればきっと解決するよ

仲良くねー

赤毛の顔を遠めで見たが、やっぱり
一生仲良く出来ねーなってウチは思った
と、そこに

おー。ここか、やっと着いた

先生が入ってきた
おそらく昨日言ってた担任だろ

HRはじめっぞー。席につけよ~

また後でね

と、言い残し優人は席に戻っていた

あいつもこっちくればいいのにな

席着いたなー。よし。じゃ、HRはじめるぞ~、あ、起立・礼はいい。面倒だから。

てきとー

さて。あと人数か…いち、に、さん、し、ご…全員いるな。よし

人数的に点呼の必要も無いような…

え~。まずはこの場に居る全員、名前が名乗れるようになっておめでとう。色々と理由がある奴もいるみたいだが、まぁ、そんなことはいい。とにかくおめでとう

あざーす

私は心の中で言った

さーて。んじゃ、ベタだが自己紹介でもするか~。えーとじゃあ。まずは先達として先生からな

と思ったけど・・そうだ、言い忘れてた。まぁ~折角、お前達は名前があるわけだから慣れる為にもこれから、お前達の事は基本は名前で呼ぶようにする。これマストな

へ~

えーと、疎内、夢…か。なんだ~そのやる気の無い返事は

いや、あんたに言われたくねーから

夢よ…そんな綺麗な名前があるんだから、言葉使いも綺麗にしろ

別に私が付けた名前じゃねーから。関係ないから

不良少女だな。夢も希望もない…

ソノ不良ー不良ー

ある意味正解ね

うるせー

まぁ、いいだろ。えーと、話を戻すか。まぁ、名前ってのは良いものだぞ。まして自分で付けた名前だ。気に入らない筈がない。

教師はドヤ顔だった

そんなに言うなら名前のを良さってなんだよ?そんなメリットねーだろ?

メリット?何言ってるんだ、夢

そんなものは最初から存在しないだろ

は?

そういう言葉で語れる話じゃないって事だ。ちょっと難しいか?

…馬鹿にしてるのかよ?

まさか。まぁ、いずれ分かる

…あっそ、いいや。で?先生はなんて名前なわけ?まだ聞いてないんだけど

ソノが人の事気にするなんて珍しいわね

ん?若干ムカついてるからさ

ははは。はっきり言うな~

不良少女だもんねー

あーいいから。教えてよ。先生?それだけ名前が良いってんだから、大層なお名前なんでしょう?

ん~。まぁ、先生は気に入ってるし、家族や友達も絶賛してくれているぞ

ふーん。で?

で?って…じゃあ。黒板に書くな。しっかり見とけよ

うざい担任が来たなって考えながら
黒板を私は見ていた

いいかー、先生の名前は土方(ひじかた)…土方

それは…そこには、私の目が間違いじゃなければ

…だ!かっこいいだろ~

こう書かれていた

ひじかた…


土方ランデブー

やばいな。この名前…やっぱり何度見てもかっこよすぎるわ

教師…

いや、土方ランデブーはやっぱり

ドヤ顔だった

第七章 土方ランデブー

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