レン

おはようございます!

ヒロミ

おはようございます、
レンくん。
今起こしてくるから、
ちょっと待っててね。

レン

はい!

ヒロミ

カケトー、起きなさい
レンくんが迎えに来てくれたよー

カケト

ぇー……まだ眠いよ…
なんか変な夢見たし…

……そのころ

ゲルマニア月面帝国は月都

モーントシュタットの城

ヴォルフストゥルムにて。

ハインリヒ

掛けよ、オスカー。

オスカー

はいっ! 父上!
しつれいします。

ハインリヒ

「夢の」、――「庭」
確かそう言ったか。
先週の夢で、そこに
立ち入ったのだな?

オスカー

はいっ! 父上!
すごいんですよ、すご
いんですよ!
たーくさん人がいて、
みーんなみん――

ハインリヒ

オスカー。

オスカー

はい、父上。

ハインリヒ

ならばトイファイトに
参加できる。
それの実況中継が世界
で注目されている。
試合に勝てばよき宣伝
となる。
わかるな、オスカー。

オスカー

はい、父上。

ハインリヒ

そなたももう六つ。
ヴォルフスケーニヒの
男なら、初陣を飾らね
ばならぬ。
だがそなたは幼き日の
余に似て、あまりにも
柔和だ。戦場に出るに
は尚早。

オスカー

はい、父上……

ハインリヒ

ゆえにトイファイトで
戦いというものを学ぶ
のだ。

オスカー

はい! 父上!
ぼく、がんばります!

ハインリヒ

よくぞ言った!
余は! 
そなたを!
誇りに思う!

ハインリヒ

我が社の玩具部門を、
本日付で子会社化した
株式の過半数はそなた
のものだ。
これを使い、物具を調
えよ。
また必要とあらば、他
の事業部門にも技術協
力させる。

オスカー

ありがたきしあわせ!
父上! ありがとうご
ざいます!

ハインリヒ

うむ。
そしてもう一つ、忘れ
てはならないことがあ
る。
今のそなたはヴォルフ
ス・シュピールツォイ
ゲ社の主である、とい
うことだ。人を率いる
者が持つべき徳と格、
そして責任を持たねば
ならぬ。

オスカー

はい、父上……

ハインリヒ

父は、そなたなら理解
できると信じておる。
ヴォルフスケーニヒの
男にふさわしいいさお
しを挙げるのだ!
家訓、朗誦!

オスカー

は、はい!
『獰猛なるヴォルフスケーニヒよ、勝利は義務なり。其は支配の土台なれば。
峻厳なるヴォルフスケーニヒよ、支配は美徳なり。其は下民を安らわすゆえに。
比類なきヴォルフスケーニヒよ、暴虐を自在にせよ。狼の法こそ不滅の法なれば』

ハインリヒ

よろしい。

ハインリヒ

勝利せよ! 勝利ある
のみだ、オスカー!
勝利はそなたを正しく
する。
己を信じよ!
そなたには貴き血が、
紀元前より続くゲルマ
ニア貴族、ヴォルフス
ケーニヒの血が流れて
おるのだから!

オスカー

はいっ! 父上!
ぼくは、ぜったいに、
ぜったいに、ぜったい
に、トイファイトで勝
利します!
勝利をあなたにささげ
ます、父上!

TOY'S EMPEROR 2 ~狼王の血統~

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