最終話

煙草と別れのリズム



梅田

体内時限爆弾、なんて普通一瞬でも信じます?アホちゃいますか?ホントこの辺の奴らってアニメ観すぎですわ

と銃弾の身代わりになった懐中時計を見せつける。

組長

このクソ野郎!

梅田に乱射する組長。だが梅田は若頭の死体を抱えて縦にしながら突っ込んでいく。

組長

ひぃ!やめろ!近寄るなあ!!!

ジッポライターをメリケンサック調に握って組長の鼻をぶん殴る。
それから頬骨、顎骨、こめかみと頭部の急所をピンポイントに骨折させ、撲殺する。

梅田

なんや。今の撮っておかんのかい?我ながら中々スタイリッシュなバラし方やったと思うで

リナ

涼しい顔をして梅田はジッポライターの火を付けた。

リナ

本当は点くんじゃないですか、そのジッポ。だから関西人は嘘つき。本当ははじめから私がどんな人間か分かってて近づいたんでしょう?

梅田

御明察。決死の逆ナンパ待ちでした。
ぶっちゃけ縄張り争いなんてどうでもええんです。ただ一応僕らの世界にも美学ってあると思うんですよ。
あんたらのやり方は悪趣味すぎた。
まあ、いうてもリナちゃんはとんだババ引かされた犠牲者の一人かもしれませんが

リナ

変に私の事を擁護しないで下さい!全部わかってて生きるためにやって来た事ですから!私が決めた事です

梅田

そりゃ失敬。因みにその涙もお得意のハニートラップですか?

リナ

だとしたらどうします?

梅田

正直どっちでもええです。
でもそやなあ。ほな煙草を吸い終わるまでに二つ選んで下さい。このまま僕に消されるか、僕の女になるか

リナ

え?どうしてそんな…

梅田

野暮な事聞きますねえ。自分の胸に手を当てて聞いてみいや。そのリズムに任せて好きな方に体を委ねたらええよ

梅田はリナに煙草を投げて、ダイスを転がせと言わんばかりに貰いタバコの移し火をさせた。

リナは梅田に煙を吐きかける。彼が怯んだ隙に頬にキスをした。その際にリナの涙が梅田の頬にこぼれてきた。

リナ

今度はあなたが私をだまし続けて下さいませ。ご主人様

梅田

おおきに。まあ言うても今後リナちゃんの命の保証なんてどこにもあらしまへんけど?

リナ

…むしろそれが好き

梅田

なるほど。これからも駆け引きは続くわけですな。まあええでしょう。んじゃ仕切り直しに!美味しくなーれ…

リナ

ここ笑い取るところじゃありませーん!!

梅田

こりゃ失敬。じゃあ、頭ン中で一番好きなBGMとありえへんくらい明るい未来を想像しながら目を閉じて。

リナ

はい、ご主人様











その数分後。












例の清掃員たちがやってきた頃には部屋中に弾痕や血痕。そして組長と若頭の死体が転がっていた。
予想と違う状況を把握できず彼らは一瞬苦しんだが、とりあえず死体もろもろの見積もりが終わるとすぐさま作業に取り掛かった。

手始めにまだ燻っている二本の煙草の火を完全に消してから血染めの灰皿を丁寧に拭いた。


The End

最終話 煙草と別れのリズム

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