第二話
メイド喫茶と中年関西人のリズム
第二話
メイド喫茶と中年関西人のリズム
メイド姿の流川リナに梅田雄一郎が連れていかれたのは雑居ビル5階にあるメイド喫茶“リトルメイドリーマー”であった。
わ、戸開ける前からごっつ甘い匂いしますねえ
魔法の国ですから、どうぞ
バーのような作りの店内。
メイドAとメイドBが掃除している。
ドアを開けるリナ。
ご主人様、お帰りでーす
おかえりなさいませ、ご主人様~
おかえりなさいませ、ご主人様~
おお、テンション上がりますねえ。アレ、でも準備中?ええんすかコレ?
はいもちろんです。あちらのシートにどうぞ
窓際テーブル席に座る梅田。
ご注文は何になさいますか?
その時、梅田は言葉にしがたい違和感がずっと走っていた。
見た目には癒しのイメージの空間ではあるが、部屋の端々から香る殺伐とした雰囲気。
このミスマッチ感はヤバい。
そう彼の本能が告げた。
すんません…やっぱまた日を改めてお散歩しましょか
席を立とうとする梅田に銃を向けるメイドA、B。
梅田の勘は当たっていた。
メイド服とピストル銃ですか。オタク街の洒落にしてはハードですねえ。どういう事か説明してもらいましょか?
はいかしこまりました、ご主人様。私たちは宮城キングダムの専属メイドなんです。ご主人様は最近秋葉原アイランドに西から不法侵入してきた古川十字軍の梅田雄一朗兵長にお間違いないですよね?
すんません。それ何語ですか?
メイド二人の銃弾が梅田のお冷を打ち抜いて、零れた水が彼のスーツを台無しにした。
ちゃんと話を聞いて下さらないと、次は額を打ち抜いて差し上げますわ
それが嫌ならどてっぱらに風穴空けて差し上げますわ
参りましたわ。そいや、この上の階、宮城組の事務所でしたね。僕とした事がすっかりアホしてもうた
物分りが早くて助かります、ご主人様
メイドやくざのご登場。秋葉原流美人局ってとこですか?エグイなあ
言葉が汚いですご主人様。ご自身の置かれている立場、身の程を弁えて頂けますでしょうか?
えらいすんません
ところで、ご注文は何にいたしましょうか?ご主人様
…ホットコーヒー、ブラック一つ
かしこまりました、ご主人様~
調子狂うなあ
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