今から、二週間前。

私の弟が行方不明になった。

失踪した日、弟は近所で有名な心霊スポットに友達二人と向かった。

しかし、その二人も、一人は精神に異常を来たしマトモに話す事もできなくなった状態で発見され、もう一人は弟と一緒に行方不明。

底知れぬ不安に押しつぶされそうだった私に、メッセージアプリから一通のメッセージが届いた。

タスケテ 黒の家 にいる

いなくなった弟からのメッセージ……。
これが、私の恐怖の一夜のはじまりだった。

ねぇ、ホントに
こんな所にユカの弟がいるの?

……わからない

誰かのイタズラって事もあるよな……

私と、親友のサヤカ、そしてサヤカの彼氏ヒロ

ほんとに噂通りに気味の悪い場所ね…… 

そして、私とサヤカの幼なじみのマリエ。


4人で訪れたのは、アノ『黒の家』だ。
地元で有名な心霊スポット。

住宅街から少し離れた雑木林に囲まれた一軒家。

でもなんでココ、『黒の家』っていうの?

黒くないよね?

確かに……。

サヤカの指摘に私も思わず頷いた。

黒いバケモノが出るんだそうよ……


黒いバケモノ!?

私も噂に聞いただけで、よくわからないわ…
でも、確かそんな話だった。
黒いバケモノみたいな女が
この家の家族を惨殺したとかなんとか……

なっ、なによ、その黒いバケモノみたいな女って!!

さあ? 
私もなんなのかは知らないわ……


ぼ、僕もその話なら聞いた事あるよ。
ただ、僕が聞いた話しでは……
ある日、この家の母親が黒いバケモノにとりつかれて、家族を皆殺しにし、以来、この家には黒いバケモノになった母親が住みついて……

黒い女の家になった……って

しんと静まり返り、私達は『黒の家』を見上げた。





すると……

インターホンを押して 中に入って

再び、弟からのメッセージが届く。

インターホンを押して入って、だって……

インターホンを? 誰もいないのに?

それって……
確かこの家に入る時の
【約束】とかいう……ヤツじゃない?

約束?

そう、ココに入る時の【約束】
いくつかあって……

それを破ると無事にこの家から出られないっていう……

無事にって……まさか死んじゃうの?

わっ、わからないよ! 僕も聞いただけだし……

……行きましょう

重たい空気の流れる中、私たちはその家へと足を踏み出した。
 

壊れかけた門扉をくぐり、玄関の前で立ち止まる。

いい? 押すよ?

半分はずれかけたインターホン。

鳴るかどうかもわからない。

でも、私は弟の言う通りに、そのインターホンをゆっくりと押した。


『ピン……ポ…………ンっ……』

途切れ途切れの電子音が、暗闇に響く。


もちろん、中からの応答なんてあるはずも無い。

もう、入っていいのかな……?

多分ね……
入ってみましょう……

マリエが扉を開き、私たちはそっと家の中へ入った。




ふいにその時、私は耳元で……


 いらっしゃい……

という女の声を聞いた気がした。

届けられたメッセージ

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