多嘉良

”あの”事件からもう一か月・・・

もうこの状態も慣れた。

深雪

何をたそがれているの?遠月くん

多嘉良

いいか!!俺はこの生活をエンジョイしてるわけじゃないからな!!

一刻も早く男に戻るために頑張ってるからな!!

深雪

私はまだ何も言ってないわ。

多嘉良

なら、そこで覗いてるやつは何なんだ!!
さっきから睨んでてこっちは怖いんだが!!

ジー

深雪

あぁ、私の式紙よ。
人見知りだから仕方ないわ。

多嘉良

もう、一か月になりますが?

そろそろ慣れてくださいませんか?

ジ・・・

稲荷

あい、ちぇすと―!!

前方の小さい生き物に気を取られていた。
まさか、後方から蹴りが・・・

しかも、わき腹に

多嘉良

な・・・何をする!!

稲荷

黙れ、このロリコン変態!!
可愛い雛になんてことを!!

深雪

貴女もね。

・・・

多嘉良

はぁ・・・散々な目に遭った。
最近、こんなのばっかだなぁ・・・・・・

多嘉良

正直、もう疲れて・・・
どうでも良くなってきたなぁ・・・・・・

多嘉良

はぁ・・・

ジー

多嘉良

まーた見てるし・・・

多嘉良

な、なんか用?

・・・鬼の匂いがする・・・

多嘉良

鬼?

でも、ニンゲンの匂いもする・・・
なんで?

多嘉良

なんでって言われても・・・

多嘉良

元々は普通の人間だったからな。
今もそのつもりだけど、実際は半分半分ってとこか・・・

半分・・・とは違う・・・
まだ、受け入れてないから・・・・別々なだけ・・・だと思う・・・

でも、どっちにしてもおんなじ・・・
鬼は強いから・・・

・・・・・・・

多嘉良

鬼は強い・・・・・・ねぇ

多嘉良

逆に節分の豆でどうにかならないのか?
ほら、弱点だし・・・

稲荷

それは誤りですよ。
実際は桃です。ほら、桃太郎とか

多嘉良

なるほどな。
桃かぁ・・・・・・って

多嘉良

お、俺は何もしてないからな!!!
いいか、手も出してないからな!!!

稲荷

見てましたから大丈夫ですよ。

多嘉良

何だ・・・良かった・・・

稲荷

話を戻すと、実際問題
物理的には人間に戻せますが。無理な話・・・な状態ですねぇ・・・ホント・・・

多嘉良

どういうことだよ・・・

稲荷

雛が言うには、”血が混ざってない”というわけです。
なら、その血を取り出せばいいのでしょう?
ですがどうです?そんなことできるとでも?

稲荷

そんなことしてしまえば所詮は人間、数日も経たないうちに絶命しましょう。
それに、その体・・・多分戻りませんし。

多嘉良

どっちにしても詰みゲーなんだな・・・

稲荷

諦めて男の娘として生きていくほかないでしょう。

多嘉良

その言葉、良く知ってんな。

多嘉良

だがよ、姿はこのままでも一万歩譲って良いとしてもだ。
吸血衝動をどうにかしなきゃいけないことは変わらないだろう・・・
このままだと何時誰かを襲うかわかったものじゃない。

多嘉良

これ以上深雪にも、おじさんにも迷惑は掛けられないしな。

・・・じゃあ・・・なんでもする?

多嘉良

な・・・なんでもって・・・何する気だよ・・・

・・・ちょっと・・・・ね

俺の物語がこんな急展開するわけ・・・いや、あるか

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