日が沈みかけた頃、訓練を終えたルーツ、ファイナ、
ニケ、アルマの4人は、食堂で夕食の最中だった。
ニケだけが、ぐったりとしている。
いや、しかしまいったね……。
ちょっとからかっただけで、
訓練量を2倍にされるとは……。
?
ニケくん、また何かしたの?
いやいや、なんでもないですよ。
日が沈みかけた頃、訓練を終えたルーツ、ファイナ、
ニケ、アルマの4人は、食堂で夕食の最中だった。
ニケだけが、ぐったりとしている。
でもまぁ、なんだかんだでちゃんとこなせてたな。
実際、ちゃんと力はついてきているようで安心したぜ。
ありがとうございます。
でも、今日みたいなのはもうやめてくださいよ……。
まぁ、今日ほどはそう無いから安心しろよ。
それでも、これから訓練量は増えるけどな。
ええ?
これからはアルマを守らなきゃならないんだぞ?
いつまでも弱いままじゃいられねーだろ。
それは確かに……。
あれ、俺弱いって言われてます?
おう。
そんなハッキリ……。
フォローしてくださいよ。
弱いっつっても、他より訓練してる期間が短いんだから当然だけどな。
それでも勇者の後に続くってんなら、最低でも俺やアステリアと戦えるくらいにはなってもらわないとな。
それは勿論ですよ。
いつか絶対コテンパンにしてあげます。
お、言いやがったな?
楽しみにしてるぜ。
アルマは女の子だから、俺達と並べとは言わないが、それなりに戦えるようにはなっておいたほうがいいな。
は、はい。
アステリアさんも女性じゃないですか。
あの人は特別よ……。
あいつに追いつくのは、余程じゃねーと無理だぜ。
俺だって単純な力比べじゃ負けるんだ。
どうすりゃあんなことになるのか知りてえよ。
教えてやろうか?
不意に、ルーツとファイナの背後から声が掛かった。
っげぇ、アステリア!
いつから後ろに……。
さっきから居ましたよ。
言えよ……。
ちょっと通りかかっただけなんだが、何か面白そうな話をしてたから寄らせてもらったんだよ。
アルマが私達に並ぶかって話だけど、魔力の性質次第じゃそれも有り得るんじゃないの?
もう調べたのか?
いいえ、まだですよ。
それは明日、魔力の解説をしてからの予定です。
そっか。
頼むよー、アルマ。
私と張り合えるようになってくれよな。
それは……。
無茶苦茶を言うなよ……。
それに魔力込みなんて反則だぜ。
それならニケだって守り面で俺達より圧倒的に上じゃねえか。
ふん。才能だって実力のうちさ。
覚えておきな、ニケ。アンタの壁もいつかはぶち破ってあげるからね。
ハ、ハハ……。
もうアレはやめてあげてくださいね。
あの時のニケくん、本当に怖がっていたんだから。
……アレ?
……俺が扱える魔力の性質は守りに向いているんだよ。
詳しいことはまたファイナさんの座学の時間で話すけど、例えば自分を守るための壁を作り出したりもできるんだ。
それで、ニケが作った壁の耐性を確かめるために、アステリアがめった打ちにしたんだが……。
結果として壁は打ち破れなかったのですが、
あの時の剣幕は凄かったですね。
わ、悪かったって。
久々に張り合える相手が出来て嬉しかったんだよ。
そ、そうだルーツ。
アンタ、私の強さの秘密を知りたいって言ったね。
あ? ……ああ、さっきのか。
まあ、お前の力の秘密は気になるが。
教えてくれるのか?
ああ、いいよ。
どうせ今日はこの後暇だったんだ。
そりゃありがとうよ……って、
は? この後?
も、もう夜ですよ?
そうだけど?
だめだこの人……。
ほら行くよルーツ。
優秀な後進を育ててもらうために、
アンタも強くならないとね。
そう言うやいなや、アステリアはルーツを抱え上げた。
おい!?
本気で言ってんのか?
明日でいいだろ!
アステリアは聞く耳を持たず、
そのまま食堂から姿を消した。
遠ざかるルーツの助けを求める声だけが、
虚しく響いていた……。
大変ですね。ルーツさんも。
本当に。
ルーツさんも行ってしまったし、
私達も部屋に戻りましょうか。
そうですね、今日はちょっと疲れました。
よく休んでね。
明日の座学はニケくんにも手伝ってもらわないといけないから。
それじゃ、お疲れさま。
2人とも。
はい。
お疲れです。
お疲れ様です。