(ブルルッ……)

(ズ、ズズ……)

隼士

仲間が一匹やられて怯えたか……?
随分と及び腰と言うか……

隼士

まぁいい、好都合だ!

何か細かいことを考えることもなく、隼士は即座に地面を蹴り出し、スライムの一匹へと肉薄する。

(ブルッ―――)

隼士

逃がさねぇッ!!

逃げようとしたのか後ろに下がるスライムの体を追う様に、隼士の拳が空気を裂いて襲い掛かる。

拳は最初の一撃の様にスライムの体を捉え、ゆっくりと突き刺さり―――猛烈な勢いと威力で以て、その体を破裂させた。

隼士

ふぅ……

(ベチャベチャッ、バッ!!)

隼士

ぬぁ、しまっ――――!!

ヴィクトリア

せぇぇぇっ!!!

一匹の陰に隠れていたスライムの追撃は、少女が突き出した鋭い刺突によって止められた。
しかし咄嗟に放ったであろうその強力な突きは、しかし運の悪いことにスライムの粘液上の体には効果が薄かった。

隼士

はぁっ!!

隼士は空に縫いとめられるスライムに拳を叩き込み、今までのスライム宜しく破裂させた。
これで、スライムたちは全部倒したことになる。

隼士

だぁー……疲れたぁ……

ヴィクトリア

私もちょっと疲れちゃった……

ヴィクトリア

……あ、助けてくれてありがとう。
私、ヴィクトリアって言うの。君は?

隼士

あぁ、俺は神田隼士。こっちこそ助かったよ

隼士

んでまぁ……俺はあれだ、目が覚めたらここにいてちょっと困ってるところだ

ヴィクトリア

気づいたら、ここに……!?
それ、ホント!?

隼士

んぁ? ……あぁ、本当だぞ

隼士

お蔭でどうすりゃいいんだかさっぱりだ

ヴィクトリア

あー……えっと、じゃあさ

ヴィクトリア

良かったら―――私が住んでる街に来ない?そこなら安全だよ

隼士

お、本当か?

隼士

そりゃ助かる、ぜひお願いするよ

ヴィクトリア

わかった。じゃあ、私についてきてね

隼士

あぁ、わかった

ヴィクトリア

……気づいたらここにいた。
この世界のことを知らない。

ヴィクトリア

きっと、隼士がお父様が言っていた『召喚者』なんだ

ヴィクトリア

だましてるみたいだけど……絶対に王国に連れて行かなきゃ

~つづく~

新天地目指して?

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