T先輩と電車
後編
T先輩と電車
後編
-それから一週間後-
いつものように自分が映画サークルの机でボーっとしていると
悲鳴の出所は演劇サークルの一年生女子部員でした。
何だろうと思って覗いてみると、どうやら演劇サークルの机の引き出しから、T先輩の筆跡らしき習字の半紙が出てきて
❝もうダメだ❞
❝つらい❞
❝限界❞
❝死にたい❞
など、ネガティブな単語がびっしりと書かれて真っ黒になっていました。
その異様な光景に驚きつつも自分はハッと思って英語の参考書を鞄から取り出し、全ページをバーッと捲ってみました。
すると
あるページにはTさんと別れた交際相手の女性と思われる二人が先頭車両にいる長い長いC鉄道の電車の落書きがそのページの余白にグルグルと張り巡らされていました。
うわぁ!!
自分は怖くなって他の人に気づかれないよう咄嗟に演劇部の本棚に参考書を仕舞い、戸を締めました。
それ以降、その本がどうなったかは確かめていません。
完