謝肉祭は、夏至から数えて二十日目に幕を明け、七日に渡って催される宗教行事だ。と言っても、そう堅苦しいものではなく、皆が笑顔で楽しむ、カサンドラ国全土で行われる賑やかなお祭りである。
古くは、地方の領主を務める司祭が、夏の暑い盛りに、労働を労う農耕祭として始めたとされる。城塞に身分隔たりなく領民を招き入れ、様々なワインや蜂蜜酒を振る舞ったという。すっきりとした酒で、日頃の疲れを癒していたようだ。
今日でも、主催はその土地の司祭が務めている。
聖週間は、街中の人が聖なる祝祭の衣装を着て、白い仮面をつける。麦の穂を手に巻き付け、蝋燭を手に、石畳の小路を昼も夜も練り歩くのだ。
謝肉祭に身分は関係ない。子供も大人も、貴族も平民も、皆が仮面をつけて、信仰心の元に平等に楽しむ。
夜は子供達が家々を巡り、お祈りの言葉を捧げる。その家の住人はお礼に、ささやかなお菓子を授けるのだ。