―始まり―

ソートク

天下の美少女よ!!
すべからく俺に侍るべし!!

ソートク

数百年も前から続く魔族と人の抗争!!
大乱の長き世を生き抜いてきた男の剛腕!
そこには何が握られていたか!?

ソートク

一振りの剣か、一条の槍か!?

ソートク

否、守るべきか弱い女の手だ!!

ソートク

人が真に至強輝くとき、そこには絶世の美女が、あてがわれている!!

ソートク

いかなる猛者がその武を誇ろうとも、傍らに守るべき美少女がいなければ、独りよがりの暴徒に過ぎない!!

ソートク

真に平和を欲するならば、まず手中に収めるべきは美少女である!!

ソートク

俺の冒険はそれを以って始まるのだ!!

ソートク

もう一度、明言する!!

ソートク

天下の美少女よ!!
臥竜たる美の化身たちよ!!

ソートク

俺について来い!!

パッフ

断る!!

勇者ソートクの心胆からの叫び。
 

だが、刹那の時も許さない者がいた。

持っていた聖剣を振り回す一人の女の騎士だ。

聖剣が目指す先は、街に侵攻してきた魔物ではない。

高らかな宣言を告げたソートクだった。

聖剣がソートクの頭に吸い込まれようとしている。

ソートクは天を仰ぐように頭をのけ反らせて回避する。

ソートク

何故断る!?
お前が秘めた可能性は無限に及ぶ!!
俺の伝説の第一歩に相応しい!!

ソートク

お前だけではない!!
そこな女戦士も女魔法使いもだ!!

ゼリィ

……

シュー

……

ソートク

美・少・女・三・人!!
この邂逅を以ってこの俺の道が決まった! ともに来い!!

パッフ

そんな馬鹿げて卑下た醜悪な野望!!
首から上だけで見てなさい!!




その腕は、女性故に細腕。

だが込められた全力と、握りしめる聖剣の切れ味。

人一人の首を薙ぐに、これほど適した攻撃は無い。

聖剣がソートクの首を捉えた。

聖六角大陸『ヘキサポリス』

大陸全土を見ても、住まう人々に平和の二文字が与えられたことは無い。

魔界より現れる闇の眷属の侵攻。

――魔物。

彼奴らは空間のゆがみを創りだしては、漆黒の魔界より現れる。

人は立ち向かった。

強大な魔の手に抗うため、国と国とが手を結び、魔物の侵犯を防いだ。

敵は強い。恐ろしく、そして無慈悲に。

だが、人々の目から希望の炎が途絶えることは無い。

人々は知っている。
人々は憶えている。

闇が息吹き魔物が蠢くところに――
光りもまた煌煌と照らされると――

――……

1、 勇者 殺されそうになる

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