「さよーならー」
号令の係の号令に合わせ、教室の生徒たちはそう言うと
荷物を持って教室の外へと歩いていく。
よし、じゃあHRを終わるぞ。号令!
起立! 気を付け、礼!
「さよーならー」
号令の係の号令に合わせ、教室の生徒たちはそう言うと
荷物を持って教室の外へと歩いていく。
ふぁ~……ぁ
そんな中、一人の男子生徒は他の生徒が教室を出ていくのを座ったままで待っていた。ひどく気だるげなその男子生徒は、大きく一つあくびをした。
おーい、何してんだよ! 帰ろうぜ隼士!
んぁ? あー、おう
すまん、今行く
何でお前いっつも皆出ていくの待ってるんだよ……
いや、あんな中歩いたら暑いし人にあたるし嫌なんだけど
やっぱお前は早く帰りたいとかより面倒とかそういうほうを取るのな
そういう主義ですから
褒めてねぇよ! お前ホント変なとこで
テンション高ぇな!
まぁもちろんわざとなんだけど
隼士……お前今日よくボケるな……
日頃の反動じゃないかな
その負担を俺に背負わせるなよ…
あ~……人が多い……
駅前。
夕方で帰宅する人も増えてきた駅は、そこそこ多くの人が行きかう場所になっている。
その人々に紛れて隼士は姿を見せる。この駅から歩いて十分ほどの距離に彼の家はある。
早く帰ろう―――と、隼士は少しだけ歩を速めた。
ただいまー
お帰りなさい
あー疲れた……
隼士、ゲームしてもいいけどちゃんと勉強はしてね。あなたももう受験生なんだから
あー……おう、わかった
一応ちゃんとするわ……
そう、母の言うとおり隼士は今年十五歳……高校受験の年だ。隼士は成績は上位の方で母からも大分期待されているようだが、本人はそれがちょっとばかりプレッシャーだったりする。
本人は勉強なんてしたくもないというのが本音らしい。
だがまぁ彼も自覚がないわけではないので、いつもそれとなく勉強はしているようだ。
今日もまた、彼は「面倒だ」と言いながら勉強することだろう。
―――夜。
既に夕飯や風呂、勉強を終えた隼士は、部屋の電気を消してベッドにもぐりこんでいた。
あー、やっぱり勉強とか面倒だな……
とはいえしないわけにはいかないんだけどな……でもつまらないんだよなぁ
……ま、明日も変わんないだろ
適当に頑張りますかね
何となくそんなことを考えて、隼士はそのまま眠気に身を任せて意識を闇に落としていった。