2017年、冬─
2017年、冬─
空へと続く、綺麗な階段。
階段の先にあるのは、儚さ。
その階段にいたのは、1人の綺麗な少女。
私はあなたを、決して忘れない。
だから………
少女はそう言い残すと、
目の前から消えていく。
待ってくれ声をかけても、少女は振り向かなかった。
絶対に、忘れないから。
ここは、絵本のなかの国「ワンダーランド」─
ここでは、たくさんの生き物がみんな楽しそうに暮らしていました。
うわぁーい!!!!!
アハハハハッ!!!!!
あ!!!!
鳥さんだ!!!!!!
ぶわああああああ!!!!!!!!!!!!
チッ……逃げやがったか!!
あ!!!!うさぎさんだ!!!!!!
ぶわああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
彼女の名は、「フラン・フローレンス」
彼女は絵本の王国、ワンダーランドのお姫様です。
今日もフランは、お城の裏山で動物を追いかけま…………楽しく遊んでいました。
フラン様、また裏山で遊んでおられたのですか。
執事か………またお母様がなんか言ってたの?
王女様に、「フランを連れて帰って来い」と頼まれたものですから。
いっつもそうやって、王女様王女様って。
お母さんの事なんか知らない!!
いいじゃない別に野山駆け回ったって!!!!
私の好きにさせてくれないの!?!?
王女様からのご指令でございますので………
じゃあ私の言うことは聞けないっての!?!?
いえ……そのような事は。
ただ、王女様のご命令をつい優先してしまい………
こら!フラン!
ゲッ!!…………お母さん………
お母さんいつも言ってるでしょ!?
執事さんを困らせないでと!!!!
グヌヌヌッ…………!!
もー………まったく。
あなたって子は本当に………
わかってるの??あなたはワンダーランドの次期王女なのよ??
次期王女としての自覚をもう少し持って欲しいわ………
……………わからないよ
え?
お母さんは何もわかってない!!!!
私は王女になんてなりたくないの!!!!
なんでわかってくれないの何回も言ってるじゃん!!!!
わたしは好きなことをして生きていきたいの!!!!
フラン………
もうお母さんなんて大っ嫌い!!!!!!
待ちなさいフラン!!!!
もー……あの子ったら!
私がフラン様を追いかけましょうか?
大丈夫です。後は私に任せて。執事さんはお仕事があるのでしょう?そちらを優先なさって。
かしこまりました。
………お母さんは、なんにもわかってない。
はぁ…………もっと綺麗で素敵なお母さんが良かったな~
違う……お母さん?
そうそう......違うお母さん。
ん!?
・・・・・
あなたは一体誰なの!?
私か?.......
あれ?さっきまでお城の階段だったのに..........
私の名は「バーズ」
グレープフルブラザーズの幹部だ。
グレープフルーツブラザーズ????
グレープフルブラザーズだ!!!!!!!!
おっけ。
で、何さんでしたかね?
バーズ!!!!
私をどうするの!!
お前を人質に取り、この国を乗っ取るのさ。
冗談はやめておいたら!?
まだわからないか....ならばこうだ。
いてててっ......何が起き.........
!?.....これって.........
城下の風景が!!
ねえ!これはどういうことなの!?
さあ.......
さあじゃないでしょ!!
あなたがやったんじゃないの!?
うるさいお嬢ちゃんだなあ......
何するの!!!!!!
何って、わかるよね?
そんな........
さよなら、お嬢さん。
……………?
わたし…………どうなっちゃったの??
フラン……
お母さん!!
こ………ここは!?
街はどうなっちゃったの!?!?
落ち着いて、ここはお母さんの魔法で作り出した異空間よ。
だから今のところはバーズに見つかる心配はないわ。
お母さん、今何が起こってるの!?
どうして街がこんな目に?
・・・バーズの目的がなんなのか、お母さんにも分からない。
でも、これ以上攻撃されてしまえば、国は滅びるでしょう。
もう好き勝手させるわけにはいかないわ。
じゃあ私はこの国のために何かしたい!!
国民のみんなのために、私もなにかしたい!!
…………。
協力させて!お母さん!!
・・・・・・・
…………わかったわ、じゃああなたに取っておきの指名を与えましょう。
うん!私何でもするよ!!!!
フラン、あなたには……………この国から逃げてもらいます。
……………え?
これがあなたの指名よ。
そんな…………私も何か!
これがあなたのため、そしてこの国のためなの。
お母さ………………
私、お母さんと…………離れたくないよ!!!!ひとりは嫌だ!!!!!!!!お母さんといっしょ………………に
おかあ……………さん。
ごめんね、フラン。
ほんとにごめんなさい。
お母さん、いつもあなたに対して厳しいことばかりで…………
フランがお母さんが嫌いだって事も知ってる。
でも、フランは私の可愛い娘。
私の宝物。
お母さん……………
私こそごめんなさい!
だからお母さん!!私をひとりにしないで!!!!
フラン…………それはできないわ。
そんな!!!!
嫌だよ!!!!!
ごめんね………フラン。
ちょっと待って!!
お母さん!!!!!!
お母さん!!!!!
フラン………また会おうね。
その時まで……………
嫌だ!ねぇお母さん!!!!!!
天よ!お願いです!!
この子を安全な世界へ!!
どうかこの子をお守りください!!!!
「マジェスティック・ワンダー!!!!」
フラン・フローレンスよ!!
お母さん……
強く生きなさい!
お母さん!!待って!!!!お母さあああん!!!!!!!!!!!
この物語は、国を救うために戦う少女と、一人の青年の、成長の物語。