わからないからといって、足を踏み出すことを恐れていてはなにも変わらず、停滞をよしとすべきならば、その先に加速があることを前提とするべきであり、つまるところ背を向けて逃げ出す行為こそ、そのものが前進であることも実際なのだが、それを許容できるかどうかは己のプライドとの兼ね合いであるだろうし、とにかく冷静だろうが慎重だろうが、じっと蹲っているだけでは解決するものなど存在しない――あたし、レイディナ・ブリザディアはそう思っている。
研究室の机に座ったまま瞳を閉じて考えたのは、今も部屋に閉じこもったままのミャアのことだ。最低限の食事くらいはするものの、外出はしようとせず、その気持ちもミャアの生活からわからなくもないのだが、個人的には納得できず、陰鬱とした空気に文句の一つも言ってやっても良いのだが、どうも私は本質的に冷たい人間らしく、ミャアを立ち直らせるよりは近づかないでおこうと思い、こうして研究室を中心にして生活をしている。
口を開けば、たぶんきっと私は否定してしまう。それが強いものでなくとも、今のミャアには届かないだろう。だから近づかない。それもまた、正しい選択なのではないだろうか。