遊び足りなさそうに、子どもたちは家へ帰っていく。
お母さんがご飯を作って待っているのだろう。もしかしたら、お父さんがその役割を担っているかもしれない。
どちらにしろ、暖かいご飯が待っていて、愛のある「おかえり」が出迎えてくれるに違いない。
羨ましいな、と加々見 遼(かがみ りょう)は、子どもたちの後ろ姿を見送った。
夜気がすぐそばまで迫っている。
「ばいばい!」と手を振る後ろでは、うっすらと星が瞬き始めていた。
読んでいた文庫本に栞を挟み、そっと閉じ、学生カバンの中へとしまった。
もう半分のところへきていて、主人公がどう行動するのかが楽しみになってきたところだ。続きは、喫茶店にでも入ってからにしよう。
大きく伸びをし、ボーっと夜空が広がるのを見ていたとき