若宮信行

今日は何もする事がねぇな・・・
不動産屋にでも行って物件見るか・・・

石田繁

おぉ、感心だ。
今日はタバコ吸っていないな

若宮信行

そんな毎日吸ってる訳じゃねぇよ

この警官が来たことによって信行は機嫌が悪くなるのだった・・・

石田繁

まぁ、今度ここで吸ってるのを見たら迷惑防止条例法違反で逮捕するからな!

若宮信行

分かったようるせぇな・・・

朝の気持ちいはずだった日向ぼっこが最悪となってしまい、信行は不動産屋に行くのをやめ、桜井組に顔を出すことにした。

若宮信行

入るぞ~

信行は入った瞬間に異様な雰囲気に包まれている事に気が付いた。

高梨雄二

おはようございます。
今オヤジは会長と話をしていまして・・・

若宮信行

会長って中村のおっさんか?

中村雄蔵

中村雄蔵、極東会の会長だ。
彼の異名は猛虎。
その名の通り野生の如く他を食らいつくすのだ。

高梨雄二

はい・・・
会長には会ったことあるんですか?

若宮信行

まぁな。
前に俺に仕事振ってきたんだ

3年前の夏に突然知らない者からの電話があった。
その者が言うには国会議員の男のスキャンダルをなるべく多く取ってほしい。
こういう事だった。
信行自身新しい仕事の開拓だと思い、引き受け、完遂したが報酬が無いに等しく、自分たちの身分だけ名乗ってその後は全く連絡はなかった。
しかし代わりに桜井組を紹介されたのだ。

高梨雄二

そうだったんですか・・・
でも結果オーライじゃないですか?
こうして今俺らと仕事出来てるんですし・・・

若宮信行

まぁな

高梨雄二

それで今日はどうしたんですか?
オヤジに用事でも?

若宮信行

いや、ちょっと新しい所に住みたくてよ、探そうと思ってるんだけど面倒でさ

高梨雄二

じゃあ、自分に任せてください!
良い物件見つけてきますから!

雄二はそう言うと早々と事務所を出て行った。
間もなく会長が出てくる頃と思い、会長の醸し出す雰囲気に呑まれたくない為、出て行ったのだろう・・・

雄二が出て行った数秒後に、組長室の扉が開いた。

中村雄蔵

任せたぞ忠志。
お前にしか出来ない仕事だ

桜井忠志

はい。
お任せください。
うちには優秀な情報屋がいますから

忠志はそう言うとチラっと信行を見た。
信行はふざけるなと言わんばかりの顔で忠志を睨んでいる。

信行の存在に気付いた会長、雄蔵はゆっくりと信行に近づいた。

中村雄蔵

久しぶりだな若造・・・
忠志が言う情報屋はお前だったか。
まだやってたんだな

若宮信行

あんたに騙されたおかげで未だにやってるよ
ってかまた変な依頼押し付けるんじゃないだろうな?

桜井忠志

それは心配ない!
簡単な内部調査だからな!
信からしたら物足りないくらいだろ!

若宮信行

メンドクセ~

中村雄蔵

まぁ、頼んだぞ、若造。
わしは帰る

部屋中の組員が揃って頭を下げて見送った。
信行以外は。

桜井忠志

そういえば雄二はどこ行った?

若宮信行

あぁ、俺の新しい物件探しに行ってくれてるよ。
何故か自分から行ってくれた(笑)

桜井忠志

あいつは会長が苦手だからな!

楽しんでいた者達であったが、この時はまだ気付いていなかった。
組設立史上最大の事件が起こるなどとは・・・

続く・・・

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