ここは地獄の3丁目――
あの世で再会したアリスとシャムは、
束の間の休息時間に雑談をしていた。
ここは地獄の3丁目――
あの世で再会したアリスとシャムは、
束の間の休息時間に雑談をしていた。
――なるほどねぇ。
シャムもキララの怒りを
買っちゃったわけかぁ……。
でも私、
アリスと出会えてちょっと安心。
1人だと心細かったから。
一緒にいてくれて、ありがとう。
うんっ!
わたしもシャムと一緒だと
落ち着く。
でもさぁ、もう現世には
戻れないんだよねぇ……。
無理に戻る必要はないんじゃない?
住めば都って言うし……。
ここ地獄だよっ?
苦しいことが永遠に続くんだよ?
苦しさも慣れれば快感!
はぁ……あっそ……。
わたしは絶対に
地獄から抜け出してみせる!
どうやって?
それは……
これから探すんだけどさ……。
聞いてみようか?
誰に?
あの人に
シャムは地獄街道を歩いている、
とある人物を指差した。
こんにちはぁ~。
シャムが手を振りながら声をかけると、
その人物は足を止めた。
そして2人の姿に気付くと、
歩み寄ってくる。
あぁーっ!
あんたはっ!?
シャムさん!
それからアリスさんでしたっけ?
こんにちは。
こんなところでお会いするとは、
奇遇ですね?
あんたこそ、
なんで地獄にいるのよ?
観音様なら
極楽浄土にいるんじゃないの?
地獄の役人と会議がありまして、
やってきたんですよ。
最近はプライベートで
天上界と現世、地獄界を
行き来することも増えてますし。
観音様はチラッと視線をアリスに向けた。
あ……。
それってもしかして、
キララやわたしの
攻撃を受けたせい?
……ごめんなさい。
勢いであんなことをしちゃって。
お気になさらずに。
悔い改める心を持っていただいて、
私は嬉しいですよ。
慈愛の心を持って接していれば、
分かってもらえると
信じていましたよ。
うん……。
わたし、
地獄に来てすごく反省したよ。
アリス、やっぱり
本当は良い子……。
もっとも、最近は痛みが
気持ちよくなってきましてね。
だから殴られたりするのは
むしろ大歓迎ですけど……。
こらこらーっ!
せっかくいい話をしていたのに、
それじゃ全て台無しだーっ!!
ところで、
お2人はどうして地獄へ?
実は――
シャムは経緯を小一時間ほど丁寧に話した。
――いやぁ、こういう時は文章だと
説明が1行で済むので楽ですねっ♪
はいはい……
作者の手抜きね……。
――いやんっ♪
手で抜くだなんて、
アリスちゃんのエッチーっ!
だから誤解されそうなことを
言うなーっ!!!
※あらためてのご注意――
ストリエ シュールコメディー劇場は
お子様でもお楽しみいただける、
健全な作品です。
――なるほど、
そういうことでしたか。
でも地獄に堕ちた者を助け出すには
一筋縄ではいきませんねぇ。
観音様はどうやって世界間を
行き来しているの?
私は顔パスで
世界の境界にある門を
行き来できるのです。
さすが観音様。
すごいすごいっ!
あ、でもお2人なら
あの御方に頼めば
なんとかなるかも……。
誰っ? あの御方って?
教えてっ! お願いっ!!
アリスさんは拾った一万円札を
交番に届けようとした善き心が。
シャムさんは私に優しくしてくれる
温かな心がありましたね。
――よろしい、お教えしましょう!
その御方とは、
地獄本部の幹部であらせられる
『地獄姫』様です。
地獄姫様ならきっと、
お2人を助けてくださるでしょう。
なぜなら、あの御方は――
いや、それを言うのは野暮ですね。
地獄姫……。
ただし、
地獄本部へ辿り着くためには
様々な試練を乗り越えねば
ならないのです。
それでも行きますか?
行くっ!
何もしないまま、
諦めたくないもんっ!!
アリスが行くなら
わたしも一緒に行く。
分かりました。
では地図を差し上げましょう。
観音様は懐から巻紙を取り出し、
筆ペンでスラスラと地図を書いた。
それはフリーハンドとは思えないほどの
精密さで、
国土地理院の職員や伊能忠敬も
脱帽するほどの見事な出来映えである。
この地図をお持ちください。
これのどこが
見事な出来映えの地図なのよっ?
いやぁ、挿絵の素材が限られているんですよ。
自分で描く時間もないし……。
それにコメディだから、
こうしてネタにもなったでしょ?
大人の事情ってやつ。
私は大人だから理解した。
アリスも早く大人になって。
えぇええええぇーっ?
シャムちゃんはすでに大人なのっ!?
それってつまり――
コラーっ!! 作者ぁっ!!!
さすがにその先を具体的に書くのは
まずいぞっ!
なぜ?
大人っていうのは、
成人年齢を超えてるって意味だよ?
………………。
ほら、見た目はロリでも
設定上は20歳以上になってるゲーム
いっぱいあるでしょ?
あれと同じ。
ま、まぁ、
確かにあるけどさぁ……。
なお、個人の頭の中で
勝手に色々と想像して楽しむのは
自由です。
はぁ……そうですか……。
それでは私は所用がありますので。
また現世でお会いいたしましょう。
見張りの悪魔には
私から話をつけておきます。
安心して旅に出てくださいね。
観音様は去っていった。
そして今回の彼の出番もこれで終わった。
よしっ!
とにかくこれで
希望の光は見えたねっ!
早速、出発しようか?
れっつ・ごー!
こうして地獄姫に会うため、
地獄本部まで旅に出ることになった
アリスとシャム。
果たして2人の行く手には
何が待ち受けているのだろうか?
地獄姫とはどんな御方なのか?
――そして出番のなかったキララの怒りは
爆発しないだろうか?
全ては今後、明らかになっていくっ!!
To be continued!