ツカサ

初めましてー! ツカサっていいます、新しくサークル参加しました! よろしくお願いしますm(_)m

ジョルっち

おう、よろしくな! って、お前オレのIDどっから貰った?

ツカサ

ああ、ごめんなさい>< 田中さんから貰っちゃいましたw

ジョルっち

そっかそっか。よろしくなーb(^ω^)d

ツカサ

それはそうと、ジョルさんって“アーティスト”好きだと聞いたんですけど!

ジョルっち

ん? 歌手か?

ツカサ

誤魔化さないでくださいよww 飲み会で女の子に『美しくなりたいか』なんて気取っちゃってんでしょww

ジョルっち

知ってんのかよwww 恥ずかしいじゃんwww

ツカサ

実は俺もちょっと気になってネットで調べちゃったりしたんですよね! 都市伝説的なのって気になるじゃないですか!

ジョルっち

バッカお前、あれ都市伝説じゃなくて未解決事件だろww

ツカサ

そうなんです? ジョルさんめっちゃ知ってそうw

ジョルっち

知ってるしw すごいぜあれ。何人も殺してんのにぜんっぜん捕まんねぇの。警察マジ無能

ツカサ

あっはは。野放しにするなって感じですよねw

ジョルっち

オレらみたいな善良な市民が危ないってのー。ま、女しか襲われないのかw

ツカサ

ヘンタイですよねw 早い話w

ジョルっち

まぁなw でも天才って理解されないもんだぜ……(キリッ

ツカサ

なんですかそれwwwwww

ジョルっち

オレもなー、思うんよ。犯罪者犯罪者言われてっけど、理解してくれる人は理解してくれっからさ

ツカサ

あー、そういう趣味の人からですよねー

ジョルっち

そうそうー。オレも結構キちゃったw ゾクゾクするよなw

ツカサ

えー、俺無理ですよそういうのー。グロいの怖い><

ジョルっち

適当なこと言うなよw 話題振ったって事は嫌いじゃないんだろー

ツカサ

あ、ばれました?

ジョルっち

ツカサはどの事件が好き?

ツカサ

俺ですか? 俺はやっぱ最初のかなー

ジョルっち

ああ、あれなw オレとしても自信作w

ツカサ

え? ジョルさん作ったみたいじゃないっすかw

ジョルっち

そうだよw あれオレ作w

ツカサ

うっそ、ジョルさんmjd

ジョルっち

誰も信じてくれないけどなw 超タイヘンだったんだぜー?

ツカサ

わかりますー。だって超綺麗ですもんね

ジョルっち

元が美人だからなw ってかお前怖くないの、オレのこと?

ツカサ

何で怖いんすかwwww

ジョルっち

オレ“アーティスト”だぜ?ww 殺しちゃうよww

ツカサ

俺男ですもんwww それに

ツカサ

あれは別に大変じゃなかったさ

ツカサ

確かに初めてだったから不慣れなところはあったかもしれないが、美しいキャンパスを彩れるとなれば苦じゃない

ツカサ

彼女は勿論OKを出してくれたし、だからこそ俺も本気になれた

ジョルっち

え、お前どした、誤爆?

ツカサ

彼女はあいつのために死んで、俺はあいつのために彼女を美術品としてこしらえた

ジョルっち

ちょ、おい

ツカサ

“アーティスト”は善良な市民を襲うわけじゃない。ただ女性の願いを叶えているだけだ

ツカサ

それが彼女達の願いなら、俺は永遠の美を与えてやろう

ツカサ

理解されずとも、少なくとも俺達は彼女達を美しいと言ってやろう

ジョルっち

ツカサ、お前

ツカサ

長岡、お前は何も分かっちゃいない

ツカサ

最近俺の偽物ばかり出ると思ったが、俺が何もしないのがいけなかったんだな

ツカサ

男を飾る趣味は無いと言っているのに……まぁ、言ってもあいつが俺を止めるだろうからな

ツカサ

命拾いしたな、お前

ツカサ

今日の俺は、人を殺せる気分じゃない

駿河音耶

ま、これくらい脅せば十分だろう

鬱田志乃

……一瞬、お前が本当に犯罪者なのかと思ったよ

駿河音耶

まさか。でもまぁ、これで彼にもアクションがあるだろうな。どう動くかは分からんが、妙な動きをすればビンゴだ

 最後の自分の書き込みに、既読通知が付いたのを確認した音耶は恵司にメールを入れる。「一通り揺さぶるだけ揺さぶってみた。自称“アーティスト”を名乗り始めたから対抗してみた」。色々とそれっぽく書いたことによって、さほど頭が良いというタイプではない長岡は雑でも引っかかるだろうと音耶は判断したのだ。
 すぐさま恵司からの返信メール。「埴谷が固まってる」。どうやら埴谷も音耶の書いたSNSのやり取り――埴谷からすれば恵司が書いたのかもしれないが――を信じたのだろう。
 全てを知っている双子からすれば悪戯を仕掛けてやったのと相違ない感覚ではあるが、周りからすれば双子が彼らにとってデリケートである事件を軽々しく扱うわけもないと思っている。だからこそ、冗談でも深刻に思われるのだろう。しかし、当の双子はなんてことないというように振る舞っている。

駿河音耶

後は恵司に任せるとして……。済まない鬱田、状況が状況だからもう少し居させてくれ、移動中で反応出来なかった、とか下らないことは言えない

鬱田志乃

ああ。だが、俺にも状況を教えろ。退屈しのぎくらいにはなりそうだ

 長岡から“河原ツカサ”という人間がどう映ったのかは分からないが、少なくとも気の狂った人間というキャラ付けは成功したろう。怯えて妙な行動を取るでもよし、“アーティスト”を名乗られたことに怒って接触してくるもよし。どちらにしろ、音耶は恵司の事を心配してはいない。恵司ならどうとでもやると知っているからだ。

駿河音耶

さ、こっから犯人が動いてくれりゃいいんだけど

 長岡の様子からすれば、彼が本当に証拠を残さず犯行を出来た人間だとは思えない。わざとああいったキャラを作っているなら相当巧妙な人間だが、わざわざ“アーティスト”を名乗るという目を付けられる行動を取る理由が分からない。少なくとも、敵は弱くは無いな。刑事という職を一時的に恵司と交換した、今は私立探偵である音耶は、恵司が感じる楽しさというものを少しばかりだが感じていた。

第三話 ⑦ 無様な賢者か、巧妙な愚者か

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