怜子の時間






シャワーを浴びながらぼんやりと考えた。

思うように情報が集まらない。ふみちゃんのデータベースや実夏ちゃんのハッキングで警察情報を集めても足りない。

龍川 怜子

思うように情報が集まらない

龍川 怜子

ふみちゃんのデータベースでも実夏ちゃんがハッキングした警察情報からは特に進展しなかった

龍川 怜子

やっぱ、初日じゃ情報も少ないか

被害者の浅田は学校に赴任する前、何かのプロジェクトにたずさわっていた。

『F.Y.I Project』

何のプロジェクト?西都学院って理系では有名な学校だが、研究所があるとは調べても無かった。

龍川 怜子

あの学校って確か受験を受けて合格したんだけれど……

爺ちゃんがこっちにしろっていったから入学蹴ったんだよね


学校のパンフレットはもう捨てちゃったんだけれど、確か研究所っぽい施設は紹介されていなかった。

シャワーを止めてバスローブを着た。

部屋に戻りスマホを見るとメールの着信が入っていた。






史華の時間






食事をしながらタブレットを眺める。

普段ならお父さんに注意されるけれど今日は書斎で仕事をしているので問題無い。

私のところに来た警告メールの内容を二人を見せたら、怜子が

龍川 怜子

うーん。 ――とりあえず今日は解散ということで。明日考えましょう

あっさりと答えた。

阿古川 史華

妙だな

と、思いながら今やっていることは今日の出来事に関するキーワードを集めて相関図を作成していた。

阿古川 史華

事故前夜、生徒会副会長の新崎が科学実験室前を確認

阿古川 史華

事故当時、被害者は化学教師の浅田で元西都学院科学研究所所属。

阿古川 史華

『F.Y.I Project』

阿古川 史華

小麦粉。粉塵爆破

情報が足りない。

特に『F.Y.I Project』が不明すぎる。

と思った矢先に口の中で拒絶反応が起きる。

阿古川 史華

うぇ

私の嫌いなニンジン特有の味がした。

慌てずにティッシュを1枚とり、口の中のニンジンを出して包んだ。

その直後に

駄目じゃないかぁ

好き嫌いしているから背が伸びないんだぞ

と背後から声がした。

振り返らなくとも家には私かお父さんしかいない。

阿古川 史華

ニンジンは嫌い

あれほど言ったのに

そうだっけ?

父さん、自慢の手料理なのにな~

阿古川 史華

自慢の料理だろうが

私はニンジンが嫌い

阿古川 史華

むぅぅ

それよりも

ニンジンは気づいたようだけれど4切れ入れておいたトマトが3切れなのは何故かな?

そう言われてサラダボールを見ると確かにトマトが3切れある。

食べ始める前に見たときは4切れだったのが今は3切れしかない。

阿古川 史華

あれ?

その言葉を待っていたかのように一切れのトマトを見せて食べた後に

それだけ史華が目の前の事に夢中だということなんだね

と指摘された。

ぐぅの音も出ない史華は

阿古川 史華

反論できない

と心の中で地団駄を踏み、表情の変わらない彼女が眉間にしわを寄せたのを見て満足したのか

じゃあ、悩んでいる史華にヒント。

と切り出した。

F-7 主役は置いてけぼりですが他の二人の日常を見てみましょう。

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