勇者たち一行は旅支度を終え、
ついに旅立とうとしていた。

勇者

全員集まってるかー?

魔法使い

はーい

騎士

………

剣闘士

zzz

勇者

お前ら統率力なさすぎだろ!

勇者

ってあれ?一人足りないぞ?

そう、一人足りない。
勇者の出てくる話では必要不可欠。
あの登場人物なしでは話が始まらないまである。

お待たせしました。

そう、お姫様だ。

勇者

姫、遅いぞ。
みんなもう集まってるんだ。団体行動はちゃんと守るべきだ。

勇者たるもの礼節はわきまえてなければならない。
勇者が勇者たるゆえんである。

いえ、勇者様。
私はあなたに言いたいことがあります。

勇者

そうだな、遅刻した身だ。きちんと謝罪とその理由を述べてもらおうか。

違います!

当たり前のことを言った勇者に向かい怒鳴りつける姫。

なぜ私も一緒に旅立たなければならないのですか!

怒りに燃える表情をする姫は、
いまにも勇者に飛びかかろうかという剣幕でまくしたてた。

勇者

なにを言っているんだ!一番安全なところに私を置いといてくださいと言ったのは君だろ

ええ、言いました。
はっきりと記憶してます。

ならなぜ私は町を出て、勇者たち一行と共にいるんでしょうか。

勇者

オレの近くが一番安全だからに決まってるからだろ。

なんでそうなるんですか!
普通はお城の中で王と一緒に勇者の帰りを待つでしょう!

勇者

町だといつ魔物が襲ってくるかわからないだろ!

町の外では四六時中襲ってくるでしょう!

いつまでも勇者にかみつく姫。
一国の王女が恥も外聞もなく怒鳴り散らしている。

勇者

それはそうだが、やはりオレの助けられる範囲にいるのが一番安全だと判断した。

勇者

王の承諾を得るのも大変だったんだぞ。

そうです!それもです!
どうしてお父様は私の同行を許可したのですか!

勇者

それは姫を守れるのはオレしかいないと判断したからだ!

勇者

オレの必死の説得が王に伝わったんだ。

勇者の熱いハートは王の心も動かした。
勇者の勇者たるゆえんである。

魔法使い

まぁほんとはあたしが魔法で王を操ったんだけどね。

魔法使い

意外とあっさりできて歯ごたえがなかったよ。

あなた方はほんとに勇者とそのお連れなのですか!

魔法使いの実力を見せつけた場面をも姫は否定する。
まるで自分以外のヒロインが出てくるのを阻止するかのようだ。

それとさっきからなに失礼な地の文を書いているんですか!

私はなにも知らない。

丸聞こえじゃないですか!

勇者

姫、さっきからうるさいぞ。

あーもう!
なんでこんなことに!

こうして、
旅立つ前から文句を言いまくるわがままお姫様と、
魔王を倒さんと心を奮い立たせる勇者の
旅が始まろうとしていた。

だからうるさいです!

パーティメンバーはこれだ

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