やっほー。
この二人の関係は三日とか三週間とか三か月とか、
とにかくながーい時間交換日記したりしてたよ。
あとはハグ。キスはまだ。おくて!
でもなんだろう。カノジョ、ておくれ?

ユウコ
ユウコ
タカシ
タカシ

そろそろコイツらの言ってること聞いてみたりしたくない?
ちょっと「あなたには」こいつらの声を届けてみよう!
そうしよーう!

ミュート解除。

ユウコ

昨日の日記……やっぱりタカシくんはいいね
あたたかい言葉をくれるね!

タカシ

うん……まぁ、そういう役目があるからね
そうそう、通院は大丈夫?

ユウコ

うん……前よりもだいぶよくなった

ユウコ

タカシくんがいてくれるからねっ

タカシ

そっか……

タカシ

そろそろ、キミも十分まともに学校生活を送れるようになったんだね

ユウコ

えへへ……

タカシ

じゃあ……そろそろ、さ

おわりに、しようか

ユウコ

…………!?

なんかめっちゃラブラブだと思ったのに、
なんだろ、チガうみたい。
秋の校舎が冷たい風を運んでるよ!
窓をあけっぱなしにするから、こういうことなるんです。

タカシ

ボクもさ、勉強とか塾とかで忙しくなってきてるんだ

タカシ

ユウコ「さん」は、多分ボクがいなくても……大丈夫なんじゃないかな?

ユウコ

…………?

ユウコ

あたしたち……コイビト、じゃ……ないの?

タカシ

え?

ユウコ

あの時、言ってくれたじゃない?
「君のことが知りたい、応援したい」って……

ユウコ

あれは……コクハク、じゃ……

タカシ

なるほど……

タカシ

日記に書かれてる「スキ」とか……
そういうのは「ソウイウコト」だったんだね

あら。
ユウコの声はタカシに「届いてなかった」みたいだねえ。
ざんねんだねえ。かわいそうだねえ。

ユウコ

うそ、なんだよね。
うそ、だったんだよね

ユウコ

あたしは……好きになった人を……裏切りたくない。タカシくんも、そうだよね?

タカシ

ボクは、生徒会の一員として、ユウコさんを更生させる役目を与えられた……そう言えば納得できるかな?

タカシ

担任の先生も言ってたでしょ。キミはとにかく授業中に意味のない発言を繰り返し、繰り返し……

タカシ

キミのココロが弱いのはみんなが知ってる。だから、それを……

ユウコ

…………

ユウコ

…………

ユウコ

ちがう。たぶん、タカシくんが考えてるのは間違ってるよ

あっ。これアカンやつ。
タカシくんの声もユウコさんに「届いてなかった」みたいねえ。
あらー、これは手痛い! 関係は停滞っていうか動いてない!
最初からレンアイじゃなかった!


がびーん。

タカシ

キミは……確かに見た目も可愛いし、素敵な女性だと思うよ

タカシ

でも、ボクは恋愛をするような気分じゃ……ないんだ……

タカシ

今は、勉強をしてダイガクに行きたい。そして、その合間を縫ってキミの精神薬になっていたつもり

ユウコ

あは

タカシ

キミに抱きしめられたときに、確かにどきどきはした

タカシ

すごく……すごく恥ずかしかったけど、大切な「クラスメイト」だって……電車の中でもそう言った

タカシ

でも、これは「正しい関係」じゃないよね

ユウコ

あはは

ユウコ

わたしは……あたしは……わたしは……あたしは……

ユウコ

よくワカラなさすぎて涙もでない。あたしはカワイそうなんだ。きっとそうなんだ

タカシ

あの、ユウコさん……落ち着いて……呼吸を整えて……

ユウコ

あは、は……

伸びた二本の腕は抱きしめるためにある。
でもね。包丁だって使い方を間違えれば、ひとをころす。
愛を抱きしめていた二本の腕の、マチガった使い方ってなんだろう?




そういえば。

         まど   あいてた  よね。

タカシ

ユウコさんっ!?

ユウコ

許さないからねっ

ドンッ

…………

どしゃっ

やらかしたー。あー。
これはやらかしたー。

笑顔が絶えないユウコさん。これで満足かな?
ううん。


そ ん な は ず な い よ ね ?

ユウコ

あたしも、アタマがおかしいって言われながら叩かれたの

ユウコ

つよくブてば治るんじゃないかってお母さんから

ユウコ

おとうさんから

ユウコ

タカシくんも、これで元通りだねっ

コイツ誰に言ってんだよ。
不気味だな。独り言は月一程度にしとけ。

筆者はもっとやってる。アレだから。アタマ。

その後?

ああ、ユウコさんは動かなくなったタカシくんに延々喋りつづけてたよ。



「キミの声はあなたに届かない」
「あなたの声もキミに届かない」
「あなたたちのこえはあなたたちに届かない」


ま、ヤンデレなんてそんなもん。


襲撃違う終劇!

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