放課後の教室。
掃除当番の私たちはほうきを手に持ちだらだらと話していた。
しっかし、ついてないよなー
せっかくお前と決着つけるつもりだったのに
しかたねえよ、天気予報でもずっと雨っていったしな
放課後の教室。
掃除当番の私たちはほうきを手に持ちだらだらと話していた。
さすがのかずきも雨の中で遊びはしないんだ
かずやはいつもはしゃいでいるから、
雨でもふつうに外で走り回ってそうだ。
うるせーな、しゅんは黙ってろよ
わたしははるみ!何回間違えてるのよ
しゅんやは私の兄だ。
ほんとに何回間違えれば気が済むのだろう。
うるせー、顔に名前でも書いとけ
その辺にしておけ、またはるに泣かれるぞ
わたし泣いたことない!
なおとまで私のことをバカにする。
こないだ先生に怒られて泣いてただろ
やーい、泣き虫はるー
ううぅ
二人していつも私をいじめる。
視界が少しにじんできた。
うるさいばかー!
必死に隠すため教室を飛び出してしまった。
あの二人にこれ以上バカにされたくない。
やっぱり泣いてんじゃねーか
かずき、またしゅんに怒られるぞ
男同士の話に入ってくるからいけないんだよ
後ろからそんな会話が聞こえてくるが聞こえないふりをする。
このままだとほんとに泣き出してしまいそうだ。
ぐすっ、二人のバカ。もう遊んでやんないんだから
ダーン ダーン
?
どこからか何かの音が聞こえてくる。
この音はー
ボールの音かな?
体育館に誰かいるのかな
私は履き替えようとしていた靴を下駄箱に戻し、体育館に足を向けた。
ダンダンダン
やっぱりここからだ
居残りの子だろうか。体育館を使っていいなら私たちも雨の日の放課後遊べる。
かずきに教えたらよろこぶかも
仲直りのきっかけになるかもしれない。
ダーン ダーン
音はいまだになり続けている。
誰がやってるんだろ
私はドアを開けてみた。
んしょっと
あれ?誰もいない
いつのまにかボールの音も消えていた。
気のせいだったのかな?
あ
私が体育館を見まわしていると、バスケットゴールの下にあるものが落ちていた。
やっぱり誰か使ってたんだ
でも、誰もいない。どこかから帰っちゃったのかな
ボール出しっぱなしにしておくと先生に怒られてしまう。
私は倉庫の中にボールをしまって体育館を後にした。
数日後
おーし、晴れた!
勝負だ!かずき!
その日は晴れで朝から二人は勝負勝負と騒いでいた。
負けねーかんな!
かずきとなおとはバスケットボールを持って校庭に出て行こうとする。
私もまぜてよ
私が言うとかずきが嫌そうな顔をする。
俺となおとの勝負だって言ってんだろ。
入ってくんなよ
私だってバスケやりたいもん!
へたくそがなに言ってんだ。反則ばっかりするしつまんなくなるんだよ
俺ははるが入ってもいいぜ
なおとは仲間に入れてくれる気のようだ。
お前と俺の勝負だろ。
こいつが入るなら俺はやんねーかんな
うぅ
かずきのバカ―!
また私は教室を飛び出してしまった。
かずき!今のはさすがにひどいぞ
うるせー。男同士の勝負に口出しするからいけないんだ
明日、ちゃんと謝れよ。
じゃないと勝負はしないからな
……
わかったよ。
勝負はまたにして明日はみんなでやろうぜ
ああ
バカバカ
私はやり場のない怒りを下駄箱にぶつけていた。
一緒に遊んでくれたっていいんじゃん。なんでいつも私だけ仲間外れにするの
もうかずきのことなんて知らない。
明日は口をきいてやらないから。
ふう
少し気持ちが落ち着いてきたとき
ダーン ダーン
あの音!
またボールの音が聞こえてきた。
やっぱり誰か使ってるんだ
私は走って体育館に向かった。
ダーン ダーン
まだやってる
今日こそ誰が使っているのか突き止めてやろうと思った。
私は躊躇せずに体育館の扉を開けた。
……
そこにいたのは眼鏡をかけた子だった。
誰だろう。見かけない子だ
…!
その子は私に気付くと笑顔で駆け寄ってきた。
こんにちは
こ、こんにちは
やっぱり見たことがない子だった。この違う学年の子だろうか。
君、何年生?
僕?僕は5年生だけど
同い年!?
それなら同じ学年のはずだ。見たことがないわけない。
もしかして他の学校の子?
勝手によその学校入っちゃダメなんだよ
ははは
なにがおかしいのかその子は笑っていた。
ちょっとバスケがしたくてね
そういうその子の手にはバスケットボールが握られていた。
バスケするの?
うん!大好きなんだ!
そういうとその子はボールを持って構えた。
テレビで見たことがある片手のシュートの構え方だった。
ほっ
その子の放ったボールは綺麗に飛んでいきゴールにすっぽりと入った。
うわあ!すごい!
へへへ
その子は照れたように笑った。
でも、練習すればだれでもできるよ
ほんと!
お願い!そのシュートのやり方教えて!
あんなシュートを決められればかずきを見返してやれる
え?君もバスケやるの?
一応、あんまりうまくないけど…
さっきへたくそまで言われてしまったため、あまりはっきりとは言えなかった。
大丈夫。
最初はみんなそうだから
僕だって最初はゴールに届かなかったし
ほんとに?
さっきのシュートを見た後だとそんなこと信じられなかった。
やり方がわかればきっと君もできるよ
いっしょに頑張ろう
うん、よろしく