四月の、ある日の午後。
観想学園高等部・生徒会役員会議室では、物々しい雰囲気の中、何らかの話し合いが行われようとしていた。
四月の、ある日の午後。
観想学園高等部・生徒会役員会議室では、物々しい雰囲気の中、何らかの話し合いが行われようとしていた。
それでさ。
会長、今日はなんで集められたワケ?
あたしお腹痛いから帰りたいんだけど。
彼女の名は、二重(ふたえ)まな子。
生徒会副会長であり、文武両道かつ性格も真面目。
難点は、何かと腹が痛くなる事である。
あらあら、焦ると余計にお腹が痛くなってしまうわよ?
まあ、いざという時は、そこに居るトイレを使いなさいな、二重副会長。
"トイレ"とは失敬な。
儂は美少女の幸福に貢献したいだけだと云うのに。
彼の名は、九重(ここのえ)イカロス。
生徒会書記であり、高等部でありながらも90回の留年をしたという、生粋の天才である。
変態な事でも知られる。
貴方にセクハラされる方は、幸福だなんて微塵にも思っていないだろうけれど……。
オラオラオラオラオラオラオラ!
(会長、話が進みませんよ。その辺にしておきましょう。)
彼は、四方正義(よも・まさよし)という。
生徒会書記であり、特異な情報圧縮言語を使いこなす、優秀な男である。
ええ、済まないわね。
あ、お茶汲んできますよ! お茶!
どうせグダって長引くでしょうし!
彼女は、三條実(さんじょう・みのり)。
生徒会のお茶汲みマシーン兼会計である。温厚な性格だが、会長以外は、誰も彼女に逆らうことが出来ないらしい。
ありがとう。
それで、何故会議を開いたのかと云うと……。
そして、彼女こそが、観想学園高等部・生徒会長、一之瀬創(いちのせ・はじめ)である。
現在は三年生だが、入学時から生徒会長として活動をしている。
定期テストが免除されるなど、様々な特権を有している。
ついに、"現われてしまったの"。
ま、まさか……!
(あぁ~お腹痛いなぁ~)
美少女とスケベがしたいぞい!
ええ、その"まさか"よ。
<因子(ファクター)>を持つ者……。
私と同様のチカラを持つ者……。
オラオラオラ、オラオラオラオラ!
(なんと! そんな事が……。そいつは、男子生徒なんですかね? 女子生徒なんですかね?)
男子生徒らしいわ。
まだ接触はしていないけれど。
なんじゃと!? 儂はノンケだから、男じゃなくて美少女とスケベがしたいぞい。
すっこんでろスケベジジイ!(ヤバッ、漏れそう)
茶番はその辺りにしておきなさい。
事態は切迫しているのよ。
高等部、ひいては学園全体の、"性的消費"の横行が危ぶまれるかもしれない……。
オラオラオラオラオラオラ!
(まあ、ここは一之瀬会長の箱庭ですからねぇ……。危険か否かは不明ですが、放置出来ない事は確かでしょう。)
当然よ。
そこで、我々生徒会としては、"接触"を試みようと思うの。
"対象"の名は?
(ヤバイヤバイヤバイ逝く逝く逝くヤバイって!)
対象の名は、九十九彰人(つくも・あきと)。
一年γ組所属らしいわ。
なんじゃと!? 儂ら全員を足しても19だと云うのに、99とは……!
ええ、彼は"99"。
私は"1"。
この事が示す意味……。
そんな中、実が、給湯室で淹れたお茶を持ってくる。
みなさーんお茶ですよお茶!
この私が淹れたお茶です! 有り難く頂いちゃってください!
お菓子もありますよ。干し芋。干し芋です。塩昆布もあります、塩昆布。皆塩昆布好きでしょ?
よく分からないことを捲くし立てながら、机にお茶やら何やらを置こうとした実は、うっかり、机の角にぶつかる。
そして、あろう事か、実は前方にお茶やら何やらを放り投げた後、不自然に直角に方向転換し、転んだ勢いで、一之瀬会長にダイブした。
椅子から転げ落ちる二人。
……この、柔らかい感じ……。
また大きくなったのかしらね?
何故か、ダイブされた側の一之瀬が、実に覆いかぶさるような体勢になっていた。
そして――不自然にも――、一之瀬の両手が、実のそこそこ大きい胸を揉みしだくような形となっていた。
あっ、ダメです……会長ぉ……。
――続く?