2022年
6月11日
04:41

タキ

はあ……
でんぷんのりの接着は終わった、
あとは乾くだけ……

タキ

ほんとにどうして
寝ちゃったの……!
もっと仕掛けたいこととか
山ほどあったのに!

タキ

仕掛けて……それで……

タキ

でも、これで良かったのかも
しれない……
あんまり仕掛けが多くても、
見つけるのに時間がかかって
解く方に割けなくなるから……

タキ

そう思うしかないよね、もう……
あとは時を待つだけ……

タキ

私の日が終わる時を……

タキ

…………

タキ

…………どう、して

タキ

どうして、私以外の私が
生き残るために頑張らなくちゃ
いけないの……

タキ

私より頭も良くない、
ミヤちゃんとも仲良くなれない、
別の自分が用意した謎すら解けない……

タキ

どうしてそんな自分に
これから先の時間を全部
あげなきゃいけないの……!

タキ

それとも、同じ今日を重ねるごとに
知能が高まっていってるってこと?
次の私には私の用意した謎が解けるの?

タキ

それでも納得出来ないよ!
どうして……どうして
私がいなくならなきゃいけないの!!

タキ

はは……
馬鹿みたい。

タキ

ミヤちゃんの前ではカッコつけて
「次の私に託す」なんて言っておいて、
いざとなったらこんなに怖くて、
逃げ腰なんて……

タキ

こんな私がミヤちゃんと一緒に
いられる理由なんてないのかも……
見栄っ張りで、意固地で、何でも
上から目線で……

タキ

間違ったことも悔やんだことも
無かったのに、今……
すごく人生が惜しい。
簡単に諦めたくないよ……

タキ

……行かなきゃ。もっと走らなきゃ。
私だけでも脱出して……
ミヤちゃんを助けるぐらいの気持ちで
いかないと。

タキ

じゃないときっと報われない。
自我も未来も無くなるとしても……
全力でやらないと。ロスをカバーして
いかないと。

タキ

――やろう。最期まで。

タキ

はあっ……やっぱり
足が動かない……

タキ

どうしてよ……
記憶が書き換えられるくらいで
そんな、いつから私はそんなに
軟弱になったんだ!

タキ

ぐっ……

タキ

動け!動いてよ!
こんなことになんて絶対負けない!!
私は――……

タキ

タキ

えっここは……体育館!?
ど、どうして……!?

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