誰しも得手不得手がある
誰しも得手不得手がある
私、八箇 実夏(はっか みか)は人と接することが大の苦手である。
といよりは人から接してこられると困るということである。
勿論、私のほうから接することもありえない。
こうなった理由は大きく2つある。
1つは両親が共働きで私は一人っ子だということ。
もう1つが最大の理由であるが、パソコンにしか興味が無い。
周りの子達みたいに可愛いものとか綺麗な物には、一切興味を示さなかった。
その為、高校生になっても友達とかも居ない。
何人かは接してくることもあったが、無言で頷いたり、首を横に振ったりとかでしかしないいのだ。
クラスのみんなは友達や仲間を作って楽しそうに喋っている。
あ…一人だけ居た
龍川 怜子(たつかわ れいこ)だ
才色兼備でおしとやかな性格
なによりも振る舞いがいかにもお嬢様っぽい
クラスの中では別の意味で浮いている
私と比較すると対極って感じ。
私は日陰で
(彼女は日向)
学校が終われば家に真っ直ぐ帰って自分の部屋に引きこもるのが私で……
彼女なんか迎えの車が来て、大きな屋敷で執事が出迎えてるんじゃないかな……
とても友達になることなんて
ありえないよ
思わぬことが起きた!
どれくらいかというと今すぐ天変地異がおきてもいいくらいの出来事。
下校時間でいつもどおりに真っ先に下駄箱で履き替えている私に龍川さんが
八箇さん、これからお時間取らせても構いませんでしょうか?
って私に?
何が何やらで混乱した私は顔を真っ赤にして
ひゃ、ひゃい?
と変な言葉を発してしまった。
彼女は首をかしげながら
お時間平気でしょうか?
ともう一度尋ねてきて顔を近づけた。
目が真剣である。その勢いに私は負けて
はは、は、はい…だ、大丈夫、です。
つい、しどろもどろに答えた。
そう、それなら結構ですわ。家に遊びにきませんこと?
さらに無理難題がやってきた。ますます混乱する私。
無理にとは言いませんが、是非、お見せしたい物があるのです。
なんだ、この展開は。私に見せる物って?高価な物を見せられても理解できないんですよ。
そそそ、そうなんです、か。わ、わかりました。
私は何を言っているんだ。これから家に帰って自分の趣味に引きこもるつもりだったのに。
そう!それはよかったですわ。先に帰って用意しなければなりませんので地図をお渡しします。
と彼女は4つ折にたたんだ紙切れを渡してきた。
え?送迎車で一緒に向かうのではないのか?
私一人で歩いてきなさいということですか?
は、はぁ。
と私はその地図とやらを受け取った。彼女は満足そうに
それでは後ほど。ごきげんよう。
と彼女は去っていった。
私は4つ折の地図を開いて見た。
どんな場所の豪邸なんだろうと思っていたら…
秋葉原だった