テツヤ

はぁ・・・何でこんな風に育ってしまったんだろう・・・。


俺の両親はどっちも海外勤務で年に一回帰ってくるか怪しいほど家を空けてることのほうが多い

言い訳がましいがこっちも忙しかった。・・・勉強とか友達付き合いとか。

やらしい話、両親の年収がかなりあるため食う寝る遊ぶに不自由したことはない

だから弟のことも、放置してたわけではないが、特別構ってやったわけでもない。

だからって

ナガト

闇の芽はいつだって歪に育つ・・・。


こんなに拗らせなくたっていいじゃないか!!!!!!

テツヤ

はぁ・・・。


こんなに拗らせているのに弟は友達など・・・

モブ

ナガトくん!おはよー!


そう、いるのだ。

弟はその容姿のおかげで、『寡黙なイケメン』としての地位を獲得しているのだ。

正直言って羨ましい限りだが、その張本人は特に喜ぶわけでもなく、ぶっきらぼうに手を上げてその声にこたえている。

どんなチートな方法を使えばこんな風になれるんだ?もう前世の行いからして違うのか?

テツヤ

はぁ・・・・・・


もう何なのかわからず、弟にたいしてため息しか出ない。

そんな俺にお構いなしにまたひょこっと声が飛び出てきた

メイ

ナガト君、おはよう


ちらっと声の主を見てやると、なんとまあ可愛らしい少女が弟の影からのぞいている。

メイ

あ、お兄さんですか?私ナガトくんのクラスメイトの橘 愛生(たちばな めい)っていいます!
いつもナガトくんにお世話になってます

テツヤ

あ、はい弟がいつもお世話になってます・・・

コミュ障のテンプレのような返事を返す。あ、これ後で恥ずかしさで悶えるやつだ。

メイ

今日数学のテストだからがんばろうね!ナガトくん

ナガト

あ、ああ

・・・ん?なんか違和感?

少女はそんな違和感など気づかず、また陽だまりのような笑顔で

メイ

お兄さんと仲良いんだね、羨ましいな。
じゃあわたし、日直だから。
では、失礼します。

と、たたたっと走っていってしまった。

テツヤ

・・・いやー、お前、あんな可愛い子ともクラス一緒なんてうらやましいなぁ

ナガト

・・・天使・・・だから

テツヤ

ん?


あんな子も『世界』に入っているのか?と思わず弟の方を向くと

ナガト

あの子は・・・この世の不浄を浄化するために天から降臨した天使、だから・・・

テツヤ

えっ

弟の顔は、耳まで、真っ赤だった。

天使様に遭遇してしまった件について。 

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