俺には弟がいる。

容姿端麗。文武両道。それでいて僻まれず友人などにも恵まれている。俗にいうパーフェクト人間。

サイボーグか?と実の兄の俺でさえ疑ってしまうほど外側は、完璧な弟だ。

そう、俺が『全てが完璧』といえない唯一の問題・・・

玉に瑕(きず)どころの騒ぎではない。
それは・・・





ナガト

ふっ・・・兄様(あにさま)ようやく永い眠りから醒めたのだな。早くせねばもう闘いの刻が来てしまうぞ

テツヤ

はいはい。おはよう




そう。俺の弟はいわゆる『中二病』なのだ________。



それも、玉に瑕どころか、玉を貫通してその下の土台まで粉砕する勢いで・・・。



テツヤ

そんなに日焼け止め塗りたくって、イケメンは大変だな


朝食を貪りながら俺はべたべたと全身に日焼け止めを塗りたくっている弟に懇親の嫌味をぶつけてみても、

ナガト

馬鹿言え。闇を統べる俺が日光など浴びれば、直ぐに皮、肉は爛(ただ)れ腐り落ち、骨すらも風にさらされ、一片も残らん。

テツヤ

・・・・・・。


この調子だ。しかも冗談で言ってくるのならまだしも、真顔で、真剣に言っているから余計に性質が悪い。


・・・百歩譲ってこの中二返しは多めに見るとしても、だ。若いから、と片付けもできる。ただ

ナガト

そこで、光を統べる兄様と俺が手を組めば世界は素晴らしい世界になると思わんか?




俺を、その『世界』に巻き込むのはやめてくれ(切実)!!!!





俺は普通の高校生(容姿、成績共に)のはずだ。しかし、弟の中では俺は『光の世界を統べる神』の設定になっている。

(弟はその光の世界からはぶられた『闇の王』の設定らしい。まぁそれは心底どうでもいいが)


テツヤ

そんなことより早くしないと学校遅れるぞ

ナガト

あ、まて兄様、おれはあきらめないぞ。




・・・いい加減あきらめてくれ・・・



【痛たたた】中二病の弟を観察してみた。

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