転校生がくる。

とある春の日、とある高校の朝。
その話題で、2-3クラスはもちきりだった。

僕、甲斐 真広(かい まひろ)も、幼馴染みの仲のいい友人と集まって、転校生についての話をしていた。

六本松 海人

今日来る転校生って、噂によると女の子らしいんだよ!

チャラチャラしている少年、六本松 海人(ろっぽんまつ かいと)が楽しみそうに言う。

宮本 勝

へえーそうなんだ

女の子のような顔立ちで、興味なさそうな返事をするのは、宮本 勝(みやもと しょう)だ。

六本松 海人

そうなんだ、って……
落ち着いてる場合かよ!?
なあ、真広?

甲斐 真広

うん。男は女の子大好きだからな

六本松 海人

その通りだぜ。男っていうのは、女の子の転校生が来たらとりあえず、テンションが上がる生き物だよな。なのにかっちんときたら……

かっちんというのは勝のあだ名だ。
勝ちという言葉に由来している。

宮本 勝

男をみんな海人たちと一緒にしないでよ。僕は、現実の女の子に興味はないんだ

かっちんはアニメや漫画の女の子にしか興味を示さない。なんというか、重度のオタクだった。

六本松 海人

お前ってやつは……

甲斐 真広

まあ、恋愛の形は人それぞれさ

宮本 勝

そういうことだね。でも、興味ないわけじゃないよ?新しいクラスの一員として、どんな子なんだろうって気になってる

甲斐 真広

仲良くなれるといいなー

六本松 海人

俺の予想だと、きっと美人だぜ

そうこうしている内に、予鈴のチャイムが鳴り響いた。
教室でそれぞれおしゃべりを楽しんでいた生徒たちは、規則正しく自分の席についていく。

そしてまもなく、担任の三木先生が入ってきた。

三木先生

おはよーございます。朝のホームルームを始めます

僕たちは、先生が転校生の紹介をするのを、今か今かと楽しみにしていた。それに先生も気付いているようだ。

三木先生

今日はその前に、みんなの新しい仲間を紹介します。さ、入りなさい

先生は、外で待たせている転校生に声をかけた。

がらがらがらがら

そこに入ってきた人物に

僕たちはみんな注目していた。

明知 梢

……

甲斐 真広

か、かわいい

六本松 海人

か、かわいい

宮本 勝

は、派手だなあ

僕たちの想像を絶する程の美少女だった。

甲斐 真広

……

明知 梢

……

僕は見惚れていた。
まさか本当に転校生が美少女だとは思っていなかった。

三木先生

では、自己紹介を

しかし、このころはまだ

気付いていなかった。

明知 梢

明知 梢(あけち こずえ)と申します。父の仕事の都合で、この学校に通うことになりました

この感じの良い自己紹介も

みんなを魅了する美貌も

明知 梢

これから、よろしくお願いします

明知 梢という存在を語る上で、何の意味を持たなかっただなんて。

to be continued

1話『明知 梢という女』①

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