転校生がくる。
転校生がくる。
とある春の日、とある高校の朝。
その話題で、2-3クラスはもちきりだった。
僕、甲斐 真広(かい まひろ)も、幼馴染みの仲のいい友人と集まって、転校生についての話をしていた。
今日来る転校生って、噂によると女の子らしいんだよ!
チャラチャラしている少年、六本松 海人(ろっぽんまつ かいと)が楽しみそうに言う。
へえーそうなんだ
女の子のような顔立ちで、興味なさそうな返事をするのは、宮本 勝(みやもと しょう)だ。
そうなんだ、って……
落ち着いてる場合かよ!?
なあ、真広?
うん。男は女の子大好きだからな
その通りだぜ。男っていうのは、女の子の転校生が来たらとりあえず、テンションが上がる生き物だよな。なのにかっちんときたら……
かっちんというのは勝のあだ名だ。
勝ちという言葉に由来している。
男をみんな海人たちと一緒にしないでよ。僕は、現実の女の子に興味はないんだ
かっちんはアニメや漫画の女の子にしか興味を示さない。なんというか、重度のオタクだった。
お前ってやつは……
まあ、恋愛の形は人それぞれさ
そういうことだね。でも、興味ないわけじゃないよ?新しいクラスの一員として、どんな子なんだろうって気になってる
仲良くなれるといいなー
俺の予想だと、きっと美人だぜ
そうこうしている内に、予鈴のチャイムが鳴り響いた。
教室でそれぞれおしゃべりを楽しんでいた生徒たちは、規則正しく自分の席についていく。
そしてまもなく、担任の三木先生が入ってきた。
おはよーございます。朝のホームルームを始めます
僕たちは、先生が転校生の紹介をするのを、今か今かと楽しみにしていた。それに先生も気付いているようだ。
今日はその前に、みんなの新しい仲間を紹介します。さ、入りなさい
先生は、外で待たせている転校生に声をかけた。
がらがらがらがら
そこに入ってきた人物に
僕たちはみんな注目していた。
……
か、かわいい
か、かわいい
は、派手だなあ
僕たちの想像を絶する程の美少女だった。
……
……
僕は見惚れていた。
まさか本当に転校生が美少女だとは思っていなかった。
では、自己紹介を
しかし、このころはまだ
気付いていなかった。
明知 梢(あけち こずえ)と申します。父の仕事の都合で、この学校に通うことになりました
この感じの良い自己紹介も
みんなを魅了する美貌も
これから、よろしくお願いします
明知 梢という存在を語る上で、何の意味を持たなかっただなんて。
to be continued