タキ

記憶をとどまらせる方法……
絶対に忘れさせられるものを
忘れないことなんて出来るの?
かなり不可能なんじゃ……

タキ

でも、学校から出るのに
記憶が必要なら考えるしかない。
なにか……

タキ

そういえば、
前の夜の私は消石灰に辿り着くように
導いてきてた。
正答かどうかは確かめようがないとは言え、
ヒントにならないかな……

タキ

うっ……
さっきは気にならなかったけど、
こんな真っ暗なところに寝かされてたの
今見てみると嫌だな……

タキ

照明は舞台袖だっけ……
突っ切るのか……はあ……

タキ

こっちもちゃんとついた。
でも倉庫の方のスイッチは無かったな……
個別にあるといいけど……

タキ

うっ……!
スイッチはあったけど
蛍光灯が切れてる……!

タキ

暗くてほとんどよく見えない……
手探りで探すしかないか……

タキ

もし蛍光灯が元々切れていたんじゃ
なくて、『今日』を繰り返すうちに切れた
のだとしたら…… いずれ
どこの電気もつかなくなっちゃう。

タキ

そしたら謎を置くどころじゃない!
なんとしても解決させる気でいかないと……

タキ

でも……どうやって?
仮説が全部合ってるとは限らないし、
こうやって夜に謎を置いて、
昼に解かせる形式でいいのかも
わからない。
全部不確かだ……

タキ

うっ……
やめよう、こんな考え……
夜の学校でネガティブになると
良くない……
ミステリだとだいたい良くない……

タキ

消石灰だけ持って外に出よう。
ひと袋しかないけど……
一番効果的な場所に置かなくちゃ。

タキ

あっ……
電気つけたまま来ちゃった。
見やすくていいか……
あとで消しにくれば。

タキ

検査のときに消されるかもしれないし、
あんまり気にしなくていいよね……

タキ

っていう考えで毎度、
倉庫の電気が放置されてきたのかな……
危険だなあこういうの。

タキ

はあ……

タキ

今までの私もこんな風に考えて
不安だったんだろうか。
今までの私も……
この光を見たんだろうか。

タキ

真っ暗な中、黙々と
ボールや文字を仕込んだり
プールに消石灰を運んだ前の私は……
怖いのが平気だったんだろうか。

タキ

その私は昼に何を話して、
何を考えて……何に至ったんだろう。
何を掴んだんだろう。

タキ

……もっと、早く
ミヤちゃんと話しておけばよかった……
まどろっこしいことなんかしてないで、
すぐに信用していれば……

タキ

ごめんね……ミヤちゃん。
今更遅いけど、本当に……

pagetop