第0話 初めてのキーパー 後編

なんやかんやで5日間住み込んだ「ないとうさん」

毎日トレーニングとご飯の用意で

「きーぱーくん」は気が休まりません

きーぱー

た、ただいまぁ―…

ないとうさん

走りこみ終わったか?

きーぱー

1週間毎日「ランニング」と「音読」

TRPGのKPに必要なんですか…?

ないとうさん

当然だ。KPっていうのは体力使うからな

シナリオによっては6時間かかる時もある

KPはその間、喋らなければいけない

きーぱー

そのための体力づくりなんですね……

ないとうさん

いや、適度な休憩を入れるのが重要だ

PLも疲れてしまうからな

ランニングなんかする必要はないぞ

きーぱー

くっそぉ……!!

ないとうさん

「音読」は可能であればした方がいい

できれば録音もして自分で聞いてみよう

きーぱー

声に自信ないなぁ……

なんか、恥ずかしいです

ないとうさん

大丈夫だ。
基本、キミの声がいいか悪いかなんて
誰も興味持っていない

きーぱー

ホントこの人、イラッとくるなぁ

ないとうさん

重要なのは「高さ」と「速さ」だ

録音を聴くと自分の声じゃないみたいに聞こえるだろう

これは「骨導音」だからだ

きーぱー

自分以外の人は、違う声を聴いてるってことですか?やだーっ!!

ないとうさん

だから録音しろ、携帯で出来るだろ

聴いてみると思っているよりも「やや高め」
「やや早め」である場合が多いと思う

きーぱー

いきなり変えるのなんて、無理ですよ

ないとうさん

あいまいに「上手く喋ろう」から
具体的に「少しだけゆっくり喋ろう」と

意識を変えるだけでだいぶ違うだろう

きーぱー

そんなに聞き取りづらかったですか?

ないとうさん

お前はのんびり喋るが、語尾が消えるからな

言い切れ。とにかく、言い切れ。

きーぱー

音読しまぁ~す……

小細工も大事

ないとうさん

ついに明日だが、準備はできてるだろうな?

きーぱー

今回は「クトゥルフ神話TRPGやろうず」に掲載されている「泥紳士」さんの「毒入りスープ」で遊ぶんです

ないとうさん

初心者でも楽しめるし、キャラ作成から2時間くらいで出来るから、最初のシナリオには丁度いいな

きーぱー

ルルブは明日カバンに入れて

行きがけにキャラシーを印刷してきます

ないとうさん

オフセKPを舐めるなぁ!

きーぱー

ひぃ……

ちゃんと、ダイスと筆記用具も……

ないとうさん

そんなもの、プレイヤーの準備レベルだ

新米KPのキミはもっと小細工をしろ!

きーぱー

小細工ですか?

※一部簡単なネタバレがありますので

ご注意ください

ないとうさん

今回のような密室や限定された範囲で繰り広げられるシナリオの事を、ミステリ用語で「クローズドサークル」と言うが

ないとうさん

こんなにマップが作りやすいシナリオなんてそうそうない。今から作れ

きーぱー

えぇ……

ないとうさん

これも作っておいてやった

簡易マスタースクリーンだ

きーぱー

マスタースクリーンって3つ折りのツイタテのことじゃないんですか?

これ……100均で売ってるレバーファイルですよね?

ないとうさん

市販のマスタースクリーンは憧れるだろうが

最近はカラオケBOXやら狭いスペースでやることも多いだろうから、こんなもんでいいんだ

ないとうさん

レバーを立てた状態で使うんだが
これが案外、見やすい角度で丁度いい

次に表面を見てみろ

きーぱー

マグネットがくっ付いてる?!

ないとうさん

同じく100均のホワイトボードの金属板の部分だけ張り付けてある

やや鋭利だから、真似する場合は手を切らないように気を付けろ。マスキングテープで周りを囲っておくと安全だな

きーぱー

いっぱい付いてるのも100均ですか?

ないとうさん、その格好で100均に行ったんですか?

ないとうさん

トークン代わりのカラーマグネットと、面白い形状の付箋があったので使ってみた

PCの位置を示したり、発見したものをPLにメモ書きしてもらうと進行がスムーズだ

きーぱー

わざわざ用意してくれたんですね……

ないとうさん

キミには立派に這い寄る混沌の使徒として
クトゥルフを啓蒙して貰わなければならない


さて時間も遅いし、最終問題をやっておこう

きーぱー

うへぇ……やっぱりやるんですね

最終問題
次のプレイングスタイルを説明しろ

①マンチキン
②リアルマン
③リアルロールプレイヤー
④ルーニー

きーぱー

まず①マンチキンはわがままプレイヤー
日本では和マンチと言って、ルールの中でPCが強くなるように設定する人の事です

ないとうさん

若干ニュアンスに棘があるが

ようはルールを把握しているベテランのPLなら、必要のない技能や能力値は捨てる人も多いだろう。それの極端な例だな。

ないとうさん

ドラえもんで言うところのスネ夫的なポジションだ。お金を自由に使えて、知識を披露するのを楽しむキャラだな。

きーぱー

②リアルマンは戦闘大好きプレイヤー
武道キックや銃器で全て蹴散らしてクリアしたいタイプの人です

ないとうさん

ジャイアンだ。次

きーぱー

全部ドラえもんでたとえるんですか?!

きーぱー

③リアルロールプレイヤーはロールプレイを重視するプレイヤー
自分のキャラの生きる死ぬより、PCの設定に合った行動をしたり、状況の描写を丁寧にする人です

ないとうさん

しずかちゃんだ。次

きーぱー

?!

きーぱー

①ルーニーは受け狙いで動くプレイヤーです
ストーリーを進行させるよりも、その場の愉悦が大好物で、思いがけない行動をしちゃう「ないとうさん」みたいな人です

ないとうさん

失礼な、誰がルーニーか
非常に重要なポジションだ

ドラえもんでは、のび太だ

きーぱー

合ってるんですか?その例え……

ないとうさん

合っているかどうかはいい

安定したお話を作ろうとすれば、それぞれのプレイスタイルをもったキャラが必要なのだ

どれが良くてどれが悪いという事はない

ないとうさん

自分のプレイスタイルの好みを知り

それを追及するのが大事だ

きーぱー

ぼくは?

ないとうさん

お前もルーニーだ

諦めてルーニー愉悦KPを極めろ

きーぱー

はぁい……。

ようやく明日は初めてのキーパリングです

ここまでの知識をうまく使って

楽しくクトゥルフを遊べるでしょうか?


次回 第1話「毒入りスープ」

よろしくおねがいします。

第0話 初めてのキーパー 後編

facebook twitter
pagetop