藤見達を乗せた車が海岸前の駐車場に到着した途端、藤見は近くの簡易トイレに駆け込み事無きを得た。
藤見達を乗せた車が海岸前の駐車場に到着した途端、藤見は近くの簡易トイレに駆け込み事無きを得た。
あー さっきはどうなることかと思ったー
尿意ってもっとも身近でハードな己との戦いの一つだよな
・・・ってもう富津達先に行ってるし
潮風を防ぐための松の林の中に一本道が通っており、藤見以外はもう100メートル以上先にいた。
藤見は追いつこうと軽く走り始めた。
いやー それにしても いい天気で良かったなー
青い空に白い雲
そして青い海に白い砂浜
情緒を噛み締めながら藤見は走り、もう少しで松林を抜けようかという所まできた
そして・・・笑顔が太陽のように眩しい真夏のヴィー・・
そして、ついに松林を抜け・・・
・・・ナッッッッッッシング!!!???
藤見は膝から崩れ落ちた。
どした!?やま いきなり叫んで・・・
松林を抜けるとそこには真夏のヴィーナスなどおらず水着に着替えた富津がいただけだった。
うミ・・・スナはマ・・・
ヴィーナス ・・・ ナッシング・・・
は?
ヴィーナス・・・ナッシング・・・
ヴィーナッシング・・・
キャッキャッ・・・ウフフ・・・ナッシング・・・
お前の下心が打ち砕かれたことは分かった
まあ この辺はマイナーだしな あんまり人来ねぇから
人が来るのはもう少し離れたところでな
なぜだ・・・なぜそっちにいかなかった・・・
貴様それでも軍人かぁ!?
軍人たるもの最前線へ突っ込まんかい!!
うるせーな こっちのが近いし のびのび泳げていいだろうが
ごめーーーん!! 待ったーーー!?
そこにはパレオタイプの水着を着た美空が駆け寄ってきた
しかし、腰に巻かれたパレオにも惹かれるが 男子二人は美空の大きく自己主張し揺れる胸に釘付けだった
・・・・富津 ありがとう
それは自然と口から出た言葉だった。
・・・おう しかし、相変わらずすげーな
え? 何がありがとうで何がすごいって?
二人の視線に気づいた美空は意地悪に笑いながら聞く。
いや・・・その・・・海が相変わらずすごくきれいだなって なぁやま?
へえ そうなの? やまちゃんは?
視線を外しながらドギマギしながら答える男一人と
そうですよ こんな海に連れてってくれた富津にありがとうって言いました
じゃせめて海見ようよ
口では平静を装ってるが目線が正直な男が一人。
全く男ってバカよねー
そう言いながらケラケラと笑いながらも顔が赤くなってるところをみると満更でもないらしい美空だった。
ごめんなさーい!!水着着るの久々でちょっと手間取ってましたー!!
遅れてエミリーも駆け寄って来た。普通のビキニタイプである。
やはり大和撫子
あいつのせいで「大和撫子」ってワードよぎった
よし 全員集合ね
それから普通に泳いだり ビーチボールで遊んだりした。
夜には、お祭りもあるので早めに上がり富津の家に向かった。
富津の両親は温かく迎えてくれた。女子たちは浴衣に着替えるから途中で抜けお祭りのある神社に現地集合することにした。
いやー賑わってるな 屋台も浴衣女子もいっぱい
だろ? しかも花火もあるぜ?
へぇ
ところでさ富津 ぶっちゃけていい?
どうした?いいけどよ
美空さんのことどう思ってんの?付き合わねーの?
あ!?
エミリーと話してたんだけどお似合いだなーって
お前の父ちゃんも母ちゃんもお前に「早く結婚して孫の顔見せろ」って言ってたし
べ、別に翔とそういう関係になるとか考えたことなかったし
うそつけ お前の母ちゃんが「あの子が小っちゃい頃は『翔と結婚する』ってよく言ってたわねー」って言ってたぞ
あのくそばばあ べらべらと喋りやがって 小っちゃい頃の話だろが しかも
つかお前俺の両親と仲良くなりすぎだろ
んで実際どうなの好きなの!?好きじゃないの!?どーっちなーんだい!!
あーもう うるせーな 好きだよわりーか
悪いわバカ野郎!!ぜってーうまくいくパターンじゃねーか!!
羨ましい!!死ね!!羨ま死ね!!リア充は爆発だ!!芸術は爆発だ!!・・・ん?ってことはリア充は・・・芸術?
くそったれ!!
別にうまくいくとは限らんだろーが
フッフッフ・・・我を誰だと心得る。色んなゲームをクリアしてきたあの『生き神さま』だぞ?恋愛ゲームも然り。幾多の恋愛シミュレーションゲームで鍛えたテクニックを貴様に授けよう
そのテクニックとやらで現実の彼女作れないお前は?
ゲームと現実を一緒にするな‼
言ってること矛盾してんぞお前!!
ともかく‼このお祭りでは富津美空さんペア、おれエミリーペアの二手に分かれて行動してもらう
もちろん、エミリーの了承つきだ
無駄に準備いいのな
作戦名は
夏祭り二人っきりで恋の花火を打ち上げろ♡イエス、フォーリンラブ大作戦だ!!
だせぇな!!作戦名!!
あとお前にこれやるよ・・・『お守り』だ
やま・・・お前
やまは『お守り』をそっと富津に握らせた
なんだかんだで応援してくれてんだな
つかこの『お守り』 やけに薄いしギザギザしてるし輪っか?もあるし・・・って
なんじゃこりゃー!!
なにって『お守り』だよ富津君
無駄に準備しすぎだろって!!
いらねーよ!!
せっかくお前の父ちゃんから預かってきたのに
しょうがねーな 俺が貰っておこう
貰うなー!!