「勇者」が主役もしくは目立つポジションにあるストーリーは非常に多かったのですが、
成長をするという点でこの作品の勇者に最も魅力を感じます。
一人の頼りない少年が、旅をする過程で、仲間を得て経験を重ね…という流れはたくさんのストーリーにあります。
このストーリーの場合は経験を重ねていきますが、武力のような単純な強さを得るのではなく人間的に成長するという一貫性があります。
「しらべる」の一単語しか使わない「ヒロイン」というところが切り口が独特でした。
表情変化と地の文で行動を補足するストーリーはストリエの形式を活用されています。
定番のイベントも切り口を変えたことによって、決まった単語しか口にできない分哀愁があり
雰囲気が出ています。
このストーリーの魔法使いはただ世界の設定を語るキャラとしてではなく、そのセリフの間と間を取っている間の表情変化、何を考えているかなどわかるように作られています。
派手な魔法を使う強力な描写はなくても、キャラと世界が生き生きしています。
タイトル通り全力で突き進むキャラ達の会話のテンポがよく、いい意味であっという間に読み進めることができました。
セリフが多くてもフキダシが単調にならず、その勢いで読ませる力強さは素晴らしいです。
今回の投稿作の中でも感情表現の方法が多彩で、カットインのような表現もあり工夫をされています。
「型物で優秀な騎士」である必要性もストーリーの中にしっかりと書かれています。
イマイチ弱い! 作者:はおり
風知草さんからのコメント
この作品は毎話ごとにコーナー化されたサイドストーリーがあり、本編とサイドストーリー、2つを1話で楽しむことができるところが魅力的です。
私も本編と同じくらい楽しみにしながら読んでいました。
また、キャラクターも毒舌天使ちゃん、見た目女子な男騎士…などギャップあり、読んでいて楽しかったです。(個人的にスライムが一番意外でした。)
内容もコメディですので、空いた時間に少し読むのに最適だと思います!
受賞者のはおりさん、おめでとうございます!