流れる雨の中、葉裏に宿る
待ち惚け、巡る思考にふと影が差す
もしもこの雨に身を舞わせたら?
唯の矮小な虫ケラが飛び遊ぶには
あまりにも重すぎる雨粒
ひとたまりもない、を体現する筈だが
なにせ此処は、幾重にも重なる夢の中
雨に躍ることも出来そうな気がした
その景色の中に居る此の身は
美しいような気もした
数刻の逡巡と、躊躇いの後

煙る雨の中、朱色が舞う

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