こんな夜は出歩くべきではなかったのだ。半透明の群集を眺めながら、我が身を呪った。
「総員、進めー!」
骸骨の指揮官の号令に従い、骸の隊列が軍靴を鳴らす。
彼らが護った国の行く末に、こんな日なのに友人と管を巻いていた自分が居ると思うと、虚しくなった。
急に、グルリと指揮官の頭蓋骨が回り、空の眼窩と視線が合う。
「敵兵発見!構え筒!」
数多の半透明な銃口が一斉にこちらを向き、無数の虚な弾丸が、僕の胸を射抜いた。

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