自分は17年間も居酒屋の親父をやっている者ですが、職業柄、今まで様々な人間を見て参りました。
来店客の中でまさしく『クズ男』と呼ぶに相応しい者もおりました。
今回は強烈で胸糞の悪くなるクズ男のエピソードをご紹介しようと思います。
彼等はクズ男であってもクソ客ではございませんでした。でも、その強烈な印象の為に忘れられない存在でもあります。
年の頃は40代後半。その御客はいつも二人でご来店されておられました。
どうやら御二人とも職場の同僚で、仕事帰りにたまに当店にいらっしゃる、といった感じだったかと思います。
いつもは職場の上司の愚痴だったり、使えない部下の話などで盛り上がっており、特に自分に絡んで来るようなお客ではございませんでした。
しかし、ある日、その御二人はご家族の話で盛り上がることに。
その話を厨房で聞いた瞬間、自分は間違いなくこのお二方は『クズ男』だな、と確信に至りました。
何故、ご家族の話を聞いてこの御二人がクズ男だと思ったのか。その内容がこちら。
「オレは実の娘がゴキブリよりも気持ち悪くて大嫌いなんだよ!」
ということを笑いながら話していたからですね。
正直、耳を疑いました。内容が内容ですので、もしかしたら虐待の可能性もあったので自分は耳を澄ましながら話を聞いておりました。
常軌を逸する実娘の罵倒は尚も続きました。
「夜とか寝てるときに、娘の足音を聞くだけでもう無理! あいつが存在するってだけで気持ち悪いし、ハッキリ言って存在ごと消えてなくなってくれって思うわwww。娘の入った後の風呂に入るのも、下着を一緒に洗われるのも絶対に無理! 風呂は入れ替えてから入る派だね」
「分かる分かる! オレもそうだからwww」
どうやら御二人ともクズ男、いや、クズ人間の類みたいで、だから意気投合されている様でした。
「普通の父親は娘は可愛いと思うらしいけれども、オレは絶対に無理! 高校卒業したら娘は無理矢理にでも絶対に追い出すつもりだから! だって全然愛してないし、同じ空気吸うのも嫌www」
その日、この二人はお互いに実の娘さんの罵倒に終始明け暮れ、上機嫌でお帰りになられました。
この時、自分はこう思いました。
『クズ男以前に、お前達は思春期の女子高校生かよ⁉』と。
だって言っていることが全部思春期真っ最中の女子高校生なんですもの。
願わくば、このクズ男二人には地獄を。娘さんには幸せな人生を歩んでもらいたいものだと思わずにはいられませんでした。