まずはルシアがドラゴンに炸裂弾を放ち爆発が起きるとただちにソフィアが高速に多くの魔法を撃ち放つ。

 だがドラゴンは攻撃を受けそれに反撃することもなくその場から逃げようするのでルシアが二発目の炸裂弾を放った。

 そうするとようやくドラゴンは反撃を仕出し突然物凄い速さで口から炎をルシアの使っている弾薬箱目掛け吐いた、ドラゴンはすごい速さで炎を吐くのでソフィアはそれを魔法で防御することができず弾薬箱の直撃し大きい爆発を起こし辺には凄まじい爆風が吹いたのだ。

 それで大きな爆発が起きたせいかものの数秒しないうちに洞窟の内部は徐々に崩れ始めた。クルトは「この場所から離れるぞ」と指示を出しこの状況でありながらも冷静だった。

 しかしここから逃げ出そうと走りだすが足場さえも崩れ始めクルト達は奈落の底へ落ちていったのだ。



「あれ、一体ここは何処だ…」

 そう言いキャップはぼんやりしながら起き上がった、周りを見渡すとパーティーメンバー達が地面に横たわっており必死に叩き起こし目を覚まされた。

 そしてヒーラーであるキャップは自分も含め負傷したパーティーメンバー達を治癒すると問題なく動けるようなぐらいにはなった。

 豊はこれからどうするのかと言うとクルトは上を見上げ「これは元にいた場所に戻るのは無理だろう」と言った。真上を見ると大きな空洞が出来ており自分達が落ちてきた所が今いる所からかなり上の方にあることに気づき元にいた場所に戻るのはもう無理だろう思っていたのだ。

 けれども落ちてきた先には一本の道がありこれはこの道を前に進むしかないだろうとクルトが言うとパーティーメンバー達はそのことに従い不安に思いながらも進んでいった。



 洞窟の道は今まで歩いてきた道よりも薄気味悪く気温が著しく低く寒かった。

 そんな中歩いている時ルシアは思っていたことを言った。

「あのドラゴンは意外に知能があるんだね」

 本来ドラゴンという生き物は無謀に暴れまくるのだが先ほどのドラゴンは弾薬箱に炎を吐いて大爆発を起こしその場を逃れるという思考回路をしていた。続けてクルト達が逃げ出すの頃にはもうドラゴンの姿はなかったので動きも素早いのではないかということも言ったのだ。

 冒険者メンバーある程度の覚悟をして引き受けたドラゴン討伐のクエストだが予想以上に困難であるというのを認識した。



 そしてクルトも思っていたことがありこんなことが言った。

「あのドラゴンは最近現れたのではなくある程度前からこの洞窟に潜んでいたかもしれない」

 それは冒険者メンバー達にドラゴンの唸り声と大きい足跡が聞こえ始めた時クルトは思い出したことで随分前にこの洞窟へ探検に来た時何かの生き物の唸り声と大きい足跡みたいなものが聞いていたが周りに何もおらず不思議に思っていたが今回のことであの時聞いたものが確実にドラゴンだということに気づいたのだ。

 なのであのドラゴンは最近突然現れたのではなく前からこの洞窟に潜んでいたのはないかと考えたのだ。

 

 数時間後、冒険者メンバー達はヘトヘトになっており食料などはあの大爆発で吹き飛び今手元には何も無かった。せめて水分ぐらいは欲しいところだがそれすらも無く絶望的な思いをしているがそれよりもこれからどう生き延びるかという思いの方が強かった。

 それでこの状態で歩き続けるといずれは倒れる可能性があるので一旦道端に座りこみ体を休めることにした。

 そうするとキャップが背を洞窟の壁にもたれ掛かながらふとこう言った。

「何もない状態でむやみに歩いて死にそうな思いをするよりもそこから歩かず体力を温存して助けがくるまでずっと動かない方がよかったんじゃないか」

「いや、こんな奈落の底へ落されたこの場所に助けがくるわけないでしょ、というか助けを呼べないよね」

「でもその結果今にも死にそうな状況なんだけどな」

 キャップはソフィアにそう言い返した。

 そのソフィアの横でクルトが何故か洞窟の壁に耳を当ておりそして突然壁を剣で無我夢中に叩き始めた。

 キャップは突然何をしているのだと声を掛けた次の瞬間洞窟の壁から水がその辺が水浸しになるぐらい大量に溢れ出てきたのだ。

 そしてクルトがキャップにこう言った。

「もしあの時ずっとあのまま動かずにいたらいずれは干からびていただろうな」



 そして休憩した所でこの状況を抜け出すためこの先何かあるかわからない洞窟をまた歩き出し空腹で体はヘトヘトであるが体を休めたことや水分を補給したことによって少し体力が回復していて前の状態よりは気力は戻っていた。

 それにこの洞窟の一本道は一向に暗い道が続いてとてつもない不安に襲われていたが一筋の希望が見えてきたのだ。

「風だ」

 冒険者メンバーは口をそれてそう言った。洞窟に突然を風吹きだしたということはこの先に出口がある可能性があるということだ。

 クルト達はこの状況から脱出できるかもしれないという希望出てきたので期待が高まり突然走り出した。それで数分走り出した所で前方に微かな光が見えてきてより走る速度が上がり夢中で走り出すとだんだんと大きくなっていき洞窟の出口らしきものが見れてきた。

「やったぞ、あれは出口だ」

 クルトがそう言って全力で走る出口はもう目の前だった、そして遂にこの洞窟の出口から抜け出すことができたのだ。



 けれでも洞窟を抜け出すことができたクルト達だがこの場所を観てキャップがこう言った。

「どうするんだこれ」

 その抜け出した場所はたしかに上を見上げると空と繋がっているが周りに岩壁があり囲まれていてこの外には抜け出せない場所であった。

 そしてルシアが突然こう言った。

「ちょっと周りを観て!」

 そう言われ周りを見渡すと数匹のドラゴンに囲まれていた。そのドラゴンはあの時逃げられたドラゴンと同類なものが数匹いた。

 パーティーメンバー誰もがこの状況はかなり危なく絶体絶命と思っていたがあることによって状況が一変する。



「私を追い回すのはやめてもらいたいのだが」

 それはドラゴンが突然言葉は話始めたのだ、そのことにパーティーメンバーはある程度知能が高いことはわかっていたが言語を話始めたのでここまで高いとは思わず唖然したのだ。

 それでクルトは何のことかを聞いてみるとこの話始めたドラゴンは先ほど討伐に失敗し逃げられたあのドラゴンだと言ったのだ。



 続けてこう話した、ドラゴン達は数年前からこの洞窟に隠れて住み着いていたがつい最近うっかり人間に見つかってしまいそれからは冒険者達が頻繁に来るようになったのでのだ。それで冒険者と遭遇する頻度が増したので威嚇し暴れまくって威せば恐れてこの洞窟に来る人がいなくなると思っていたが余計に来るようになりさらにクルト達みたいな強い冒険者達が来るようになり遂に対処できなくなってしまったと言ったのだ。

「でも何でこそこそと洞窟の中に住み着いていたんだ」

 キャップはそう質問するとドラゴンはこう言ったのだ。

「こうでもして洞窟の中などで潜んでないと人間達がいつでもドラゴンの目玉や鱗などの資源集めという目的で襲ってくるじゃないか」

「私たちドラゴンなどの生き物は人間達の都合で振り回されて迷惑しているのだがどれだけ非道的なことをしているか自覚はないのか」

「この世界で一番偉いのは人間で俺達人間が生きていくためしかたがないことをしている」

 

 クルトがそう話すとドラゴンは険しい表情をしもうここにはいられないなと言った。

 そうするとドラゴンはクルト達にここの所は逃がしてほしいと話すとクルトは体力がそれほど残って無いので戦っても無意味だと考え了承しただその条件としてドラゴンの飛ぶ能力を使いこの外へ連れ出してほしいと頼むとそれを受け入れてくれた。

 そしてドラゴンは冒険者メンバー達を乗せ空高く飛んで行ったのだ。



 その後クルト達はクエストに失敗したものの無事に家に戻ることができた。

そうしてその夜、豊は自分の部屋で考えことをしていた。

「どうしたら現実世界に戻れるのだろう」

 自分がどうしたら現実世界に戻れるのかを考えていると一つの方法を思いついた。

「この世界が漫画の世界というのなら結末を迎えれば何等かのアクションはあるのかな」

 だがこの漫画は途中までしか描かれていないので結末にたどり着けない、さらにそれなら結末を自分の手で導きけばいいと思っていたがこの漫画を描いたのが昔のことだったのでどういう結末にするかを忘れてしまった。


 そしてここから昔描いた漫画の結末を思い出しながらこの世界で暮らす日々が今始まった…

5話 人とドラゴン

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