侵略しますか？　お嬢様

　

皆様いかがお過ごしでしょうか。
私、巣羅田衣夢（すらたいむ）は
夏休みを利用して
別荘に来ています。

　お茶でございます、お嬢様

ありがとう

他に何かございますか？

そうね、久しぶりにセバスチャンの作ったガトーショコラが食べたいわ

御意

いつもと違う？

おほほほほ、
面白いことを仰る方ね。

私はいつもと
同じですことよ？

いや、全然違う

彼氏【巣羅井武宇】

そうだな。頭の上に巨大な猫が見えるようだ

生徒会長【狩須真或】

え！？　猫！？　隠れなきゃ！

その幼馴染【チュー子】

……ちょっと待て。
なんであんたらがいるの？

何を言う。
それを言うならそのロボットと馬車はなんだ

何言ってんのよ。執事のセバスチャンと、うちの別荘専用馬車じゃないの。

第１話でちらっと出ただけだから
忘れてるかもしれないけど、あたし
お嬢様だから。

そうじゃない

現実を見ろ、巣羅田衣夢！

そうだった。

ここは地球から
１万２千光年離れた
宇宙空間のどこか。

……で、
なんであたしが
こんなところにいるかと言うと……

夏休みは旅行に行かないか？

とか、いきなり武宇が
言いだしちゃって、

と言うことで温泉だ。露天風呂だ。
露天風呂と言えば混浴だ！！

だ、駄目よ武宇！
あたしたちまだ婚約もしていないのに！

何を言う。将来（の地球侵略）を誓った仲ではないか！

さあ！　硬い絆を再確認しあって、
地球侵略へレッツゴー！

すぽぽぽ――ん！

ああっ！　そんないきなり脱ぐなんてっ！

良いではないか、良いではないか

あーれー！！

【しばらくお待ちください】

貴様ら、高校生の分際で
なんていかがわしいっっ！！

うわぁ衣夢さんってば、
いつの間におとなの階段を～

ここは生徒会長としてこの僕が成敗ｓ

なんと言うことですお嬢様！
このセバスチャン、旦那様になんと申し開きをすればいいか……

な、何だこのロボットは！

私は執事・セバスチャン！　見ての通りただのおひげがキュートな人間だ！
と言うことで、勝負だ！　巣羅井武宇！

ひげだったのか！　と言うか待て！
それは単なる衣夢の妄想d

問答無用！！

奥義！
【１万年と２千年前から以下略】攻撃っ！！

そこは省略するところじゃない！
じゃなくて！！

何をする！　俺は何も！！
離せぇぇぇぇぇぇぇ……！

ちょっと！　どこ掴んでるのよ！！

僕は関係ない！

うっわ～！　みんなでロボットに乗って
お空のお散歩なのです～

たーーーすーーーけーーーてーーーー

「キラリーン」

……と、全ての元凶はそこの
執事だと言うことを忘れたか！

しかも全部お前の妄想だし

あー……そんなこともあったっけぇ……

ツンデレツインテールが宇宙の藻屑に消えるのは構わないが、僕たちまで巻き込むな！！

……ということで、
今に至ってるってわけ。

えへ☆

まぁこんなところで立ち話もなんだし、
座れる場所へ移動しよう

お茶ですねｖ　チュー子は
プリンアラモードが食べたいのですぅ

チュー子。これは痴情のもつれ展開だ。
衣夢の無茶苦茶さに、いい加減
武宇も愛想が尽きたのだろう

ここは隣のブロック席を確保して
植木鉢に隠れつつ修羅場を堪能するのが
「主人公の友人Ａ・Ｂ」に課せられた任務だ

ちょっと！　勝手に昼ドラみたいな
展開に持ち込むんじゃないわよ！

痴情のもつれとはどういうことですか。
一言お命じ頂ければ、あの男の首、
即刻はねてお持ちいたしましょう！

なんでお前の妄想で
首はねられにゃならんのだ！！

とにかく行くぞ！

……と歩くこと２０分。

あたしたちは
とある場所に出た。

うわぁ！ボックス席なのですぅ！

しかしこれでは隣の会話は聞こえにくいな

……その前に、
さっきのワープホールみたいなのとか
ツッコもうよ。

歩いてたわよ、普通に。

今更そんな普通すぎることでツッコめるか

普通なの！？
今ってワープホールは
歩いて移動するものなの！？

トンネルは通る。
足があれば歩く。
其れ全て人生の理（ことわり）なり

もったいぶって普通なこと
言ってんじゃないわよ！

ここはまだ途中だ。行くぞ

行くぞって……。

そう言えば武宇って、
本当は宇宙から
（地球侵略に）来た宇宙人だし、

このあたり詳しいのかしら。

そうよ
きっとこの先には
超ハイテクな宇宙都市なんか
あったりするのかも！

ものすごく高いビルが林立してて、
透明なチューブの中を
卵型の乗り物に乗って
移動したりするんだわ。

もちろん
無駄に一回転するつくりに
なってるのは
お約束よ！

しかし、その繁栄は
人類が作り出した
仮初めのもの。

その都市は
実は地下数千メートルに
作られたもので、

空は映像を投影、
太陽は人工太陽。

地表に出れば、
濃メタンガスとアンモニアに覆われた
死の世界が待っている……。

　

そう！　

愚かな人類は
自分たちの力を誇示するために
戦いを繰り返し、

豊かな緑の星を
こんな状態にしてしまった。

連邦政府は
人々を地下に閉じ込め、
何年もかかりながら
地表を浄化しようと
試みている。

しかし
きみは知っているだろうか。

地表はもう何年も前に
浄化が完了していることを。

連邦政府と
巨大コンピューター・グランドマザー
によって選ばれた者だけが
住んでいることを！

地下に追いやられた人々は
何かのはずみでそれを知った。

「何故地表に出てはいけないのだ」

と叫ぶ者たちが
レジスタンスとなって
連邦政府に戦いを、

妄想はそこまでだ。着いたぞ

……あれ？

なんかいろいろ苦労してるんだな

……まあな

なんか知らないところで
仲良くなってない？

あの二人。

こ、これはまさかのBLフラグ！？
フラグ立っちゃった！？(//ω//)

立つかぁぁぁぁぁあああああ！

さあ、ここが俺の故郷、
「slime・itudemo・dokodemo・e-sinryaku・gokuro-3」
通称「サイド３（ＳＩＤＥ‐３）」だ！

なんて無理のあるネーミング

しかも、城まであるし……

はっ！　もしかしたら武宇は
あの城に住んでるとか！？

そうよね。

だって１万２千光年もの距離を
移動するには
それなりにお金がかかるものよ？

タクシー代とか
高速料金とか
新幹線のチケット代とか。
　

ほら
機械の身体がタダで貰える星に
行くのだって、

パスが買えるのはお金持ちだけ

ってお話があったじゃない。

それと一緒。

「まずはこれがなければ
始まりませんよ」

「ほっほっほ、
よくわかっておるのぉ桔梗屋」

みたいな感じよ！　

ってことは、
あの城はいずれ
あたしのものになるのね。

ふふふ。

……ただの顔だけの男かと
思ってたけど、
なかなか価値が
見えて来たじゃないの

巣羅井武宇！