にゃん

にゃん　にゃん

……

だっこ　だっこ

……

うんうん
今日もお利口さんだね

おじさん
こんにちは

はい　こんにちわ

またネコさんと
お話してるの？

うん

ネコさんは寂しがりだからね

おじさんが
話し相手になってあげてるんだよ

おじさん
やさしいね！

うん
おじさんは
やさしいんだよ

ねぇ
おじさん

おじさんはどうして
ネコさんとお話ができるの？

知りたいかい？

うんっ！

実は
おじさんはね

ネコ星人なんだ

ネコせいじん…？

そう

ネコの言葉がわかる
宇宙人なんだよ

おどろいたかい？

…おじさん

嘘は良くないよ

ははは
やっぱり信じられないかな？

生体識別完了しました

逃亡中のジェル
商品コードA12-9832と一致します

！？

ネコちゃん
お疲れ様

あと数日かかる予定でしたが
直接触れることが出来ましたので

あ、あなた達は…？

わからない？

おじさんを迎えに来たの

そ、そんな…

何の権利があってそんな事を！

何が商品だっ！
私にだって生き方を選ぶ権利はあるはずだ！

私はもう人間だ！
人間としてこの星で十年も暮らしている！

家には私の帰りを待ってくれている妻だっているんだ！

落ち着いて

私達は
おじさんを救いに来たの

救いに…？

うん

実はね

私もおじさんと同じ

ジェルなの

えっ！

おじさんが逃げている
十年の間に時代は大きく変わったわ

ジェルの反乱が起きてね

私達が商品の時代は終わったの

もう脅えながら
隠れて暮らす必要は無いの

……

おじさん

一度、擬態を解いてみて

……

これでいいかい？

ネコちゃん
どう？

…だいぶ青くなってますね

このままこの星で暮らし続けると
数ヶ月もしないうちに絶命しますよ

……

この星の環境は
私達の体質に合わないわ

おじさん

帰ろ？

……

状況は理解した

そしてその上で
返答させて頂くと

私はこの星に残るよ

どうして？

この星にいたら
おじさんもうすぐ死んじゃうんだよ？

自分の体の事だ

もう長くない事は
知っていたさ

でも私はこの星で
妻をつくってしまった

……

愛しているんだ

例え残り僅かな時間でも
妻と一緒にいたい

だから私は

この星に残るよ

……

……

…あの

気付かれてなかったと思いますが

奥さんもジェルですよ

え

実は先程
奥さんとお話していまして…

即答で『帰る』って
言ってたよ…

奥さんも旦那さんがジェルだって
気付かれていませんでした

つまり奥さんは一人でも
帰るつもりだったみたいです

……

すみません
私もやっぱり帰ります

てかそんな話聞くと
もう妻と会うの気まずいんですが

でしたら奥さんとは別便を手配しますね

それでお願いします

　　　　おしまい