午前２時、コンビニ『スマイルマート』にて
午前２時、コンビニ『スマイルマート』にて
じゃお先失礼します
お疲れっしたー
お疲れっしたー
はいはいご苦労さん
バイトを終えた藤見と富津の二人はタイムカードを押しスマイルマートを出た
さーて、バイトも終わったところで
今日もやまの家で酒でも飲み行くか
別にいいけど俺は実況動画の編集があるから一人で飲んでろ
またかよお前、友人が家にやってきたときぐらい飲むの付き合えよな
様々なゲームを残機を一つも減らさない、途中セーブせずにクリアという厳しい縛りをしながらも淡々と解説しながらやってのけることから『生き神さま』と呼ばれ、一週間に１本のペースでアップしどの動画も再生回数100万をたたき出す実況者フジミ～に投稿ペースを遅らせろというのか、富津よ
お前そんなとこまでいってたのか
前期試験の勉強で全く編集に手を付けられなくて、溜め撮りしてたストックが少なくなってきたからな
実況以外にもアニメとかゲームで忙しいからな
あーはいはい
そうですか
藤見と富津は今年大学に入学したばかりで学部もバイト先もたまたま一緒だったためよくつるんでいる。
ところでさあ、最近深夜出歩く女性をナイフで刺す事件がこの辺であってるらしくてな、今月でもう４件目だとよ
その中にはうちの学生もいてな大学も夜遅くの外出を控えるよう注意を呼び掛けてるそうだ
バイトや飲みで遅くなる女子も多いだろうし
なかなかそういうわけにもいかんだろうにな
しかも、この事件に乗じて送り狼するけしからん男共も増えそうだな
実際にほら、前の方にパツキンの女子が歩いてる
ああ、確かに金髪だな
留学生かなんかか？
そして、さらにその前に怪しい男が歩いてる
藤見達の数10メートル向こうに金髪の外人らしき女性が藤見達と同じ方向に歩いており、数10メートル先に黒いパーカーのポケットに両手を突っ込んだ怪しい男が藤見達の向かってくる方向に歩いていた
ああ、確かに怪しいな・・・ん？
・・・
タッタッタッタ・・
とその怪しい男は右ポケットから何かキラリと光るものを取り出し突然金髪女子に向かって走り出した！！
おい！！あれなんかやばいんじゃ!?
チッ‼
富津がそう呟いた瞬間、藤見は舌打ち急いで金髪女子の方へ走り出した！！
キャーーーーーーー！！？
やま！！！
藤見が間一髪で怪しい男と金髪女子の間に割り込んだかと思うと金髪女子が悲鳴を上げた
クッ!?
男の右手に持っていたものはナイフであり、藤見の腹にはそのナイフが深々と突き刺さり血が服に滲んでいた
ッ!?
誰かが割り込んでくるなど予想だにしなかった怪しい男は藤見の腹からナイフを抜くとそのまま身を翻すように逃げ出した！！
待ちやがれ！！！
富津が追いかけようとするも追いつけるはずもなく怪しい男はそのまま闇の中へと消えていった・・・
クソが・・・
富津は毒づき金髪女子の方を向くと座り込んでおり倒れた藤見の頭を膝の上に乗せていた
しっかりしてください！！
今すぐ救急車を呼びますから！！
日本語、お上手なんですね・・・
大丈夫です・・救急車を呼ぶ必要はありませんから・・・
何言ってるんですか！！
だってお腹から血が・・・
でも、あなたを助けることが・・・できて・・良かった
なんで見ず知らずのワタシなんか助けたんですか！？
金髪女子は泣きながら膝に頭を乗せている藤見に聞いた
ハアハアと息も絶え絶えな藤見は笑顔を作った
泣くこと・・・なんかありませんよ
と、当然のことをしたまで、で・・すよ・・
そして藤見は笑顔のまま、目を瞑った・・・
グス・・・・ウッ…
静かな深夜の道に金髪女子のすすり泣く声だけが聞こえる
・・・・・・・・・・・
おい・・・藤見、いつまで膝枕してもらってんだ
そろそろ起きんとお前をセクハラで警察に突き出すぞ
・・・・・え？
・・・いや、警察だけはマジ勘弁して！！
と死んだはずの藤見があっけらかんとした明るい声で言うと「よっこいせー」と言いながら起きだした
え？・・・・え？
うん、もう大丈夫だから
いやーいい寝心地だった、スベスベだし弾力抜群！
あ、通報とかシャレにならんからやめてね
はぁーーーーー！？
静かな深夜の道に金髪女子のパニくった声が響き渡った・・・
