ただ歩いていた。
答えを求め、ただ歩いていた。
荒野を。草原を。砂漠を。浜辺を。川辺を。森林を。街を。
どれだけ歩き続けただろうか。
ただ、答えを求めて彼は歩き続けていた。
求めるはただ一つの答え。
それを得るためだけに求道者は道を往く。
幾つもの夜を越え、それでも彼は往く。
答えはどこにもなかった。
求めるものはいつだって失われていた。
彼の目から光が失われて久しい。
だがそれがどうしたというのだろう。
真髄を求めるのに光の有無など大した差ではない。
それを見極められるのならば彼は幾らでも差し出してきた。
すべては答えのために。
ただ、進んできた。
何もかも投げ出して、
何もかも捨て、
何もかも差し出して、
何もかも受け入れ――。
それでも、彼は止まらない。
一心不乱に。
ただ前へ。
ただ、前へ。