シネマティックラブ 中編
シネマティックラブ 中編
終わった……
俺、もう駄目だ……
おいおい、ずいぶん弱気だな
当たり前だろ……
月曜、って、明後日だよ?
それまでに役柄をモノにするなんて
この俺にできっこないじゃん……
クビだ……
俺、あの役おろされるんだ……
監督の冗談真に受けんな。
あと1シーンで上がりだぜ?
いや、あの目はマジだって!
あーー演技なんて俺には無理だったんだ。
なんで役者がつとまるなんて思っちゃったんだろう?
3ヶ月前の俺の馬鹿、馬鹿馬鹿~
お前は、ちゃんとやってるよ
嘘だっ!
ウソじゃないって
けど、監督は大根だって言ってたじゃん!
お前はいいよな。
いつも褒められてるしさ。
NG全然出さないじゃん!
俺は器用貧乏なんだよ
でたよ、謙遜。
慰めはやめろ。
余計に惨めになるだけだ
……やさぐれてんなあ
……つーかさ、わざとらしく部屋の隅っこで膝抱えるのやめてくれ
俺にはこの場所がお似合いなんだよ
ったく、しょうがねーな……
……
わかった。じゃあ、今からお前に
役作りの秘密を教えてやるよ
へ?
役作りの秘密? そんなのあるの?
ああ
恋すをりゃいいんだよ。現実の誰かに。
そしたら、トウノインの気持ちがよーくわかるぜ
恋……?
そんなの突然言われたって
その……恋は一人じゃできないし……
手近な相手で手を打てばいいんだよ。
例えば俺とか
俺……、って、え、ええ?
ちなみにな、
俺の演技が本当にイケてるんだとしたら
それは恋をしているからだ
なあ、相手は誰だと思う?
いや、全然わかんない
お前……
やっぱ筋金入りの鈍感だな
俺が好きなのは、
目の前でバカ面下げてる奴だ
そ、そ、それってまさか……
そうだよ。
お前の事だよ
嘘だよな?
いや、マジ。
大マジ。
ひえええええっつ
……まさか、こんなタイミングで告白するとは……
いや、潮時だったのかもしれないな
じゃ、早速始めようか
な、何を?
決まってるだろ?
恋と演技のお勉強だよ
ちょ、待って、おい、なんでこっちに擦り寄ってくるんだ?
お前の目、めっっちゃ怖いんだけど!
お、おい、なんで服なんか脱ぐわけ?
……お前、いい匂いすんな
こ、こら、人の話を聞け〜〜〜!!!!
つづく!