凛と累は小学三年生。
夏休みで出された読書感想文が
まだ終わっていません。
二人は本を読む時間を短縮しようと思い近所の読書博士を訪ねました。
凛と累は小学三年生。
夏休みで出された読書感想文が
まだ終わっていません。
二人は本を読む時間を短縮しようと思い近所の読書博士を訪ねました。
ねー博士。
『三十六歳の保険の先生(♂)に絆創膏を
つけてもらうために中指をカッターで切り、
中指に貼られた絆創膏を結婚指輪に見立てて
微笑む少し病んでる十六歳の娘のお話』
きかせて-
きかせてー
最近の小学生は末恐ろしいなぁ。
先生も知ってる方がいいから
この話にしなさい。
そういうと博士は一冊の本を持ってきました。
桃太郎?
童話じゃん。私ら小学生よ?
なめんなよクソメガネ。
ただの童話じゃないぞ。
これは海外のHARUTAROさんが書いた
童話をアレンジした作品なんだ。
君たちの知ってるお話と少し違うから、
とりあえず聞いてみてくれ。
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・・・・・・
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・・
~桃太郎~
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんとゴンザレスがいました。
ゴンザレスの存在感
グローバル化の波がここまできてるとは
おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんも歌舞伎町のソープに命の洗濯に行きました。
おじいさん最低だった。
おばあさん何でそんな男を選択しちゃったの
こうなるとゴンザレスに期待が集まる。
ゴンザレスは山へ芝刈りに行って帰らぬ人になりました。
ゴンザレスー!!!!
人って儚い
稼ぎのゴンザレスがいなくなったので、
おばあさんは生活費を稼ぐために夜の蝶になりました。
おじいさんはお婆さんが稼いできた金を嬢に貢ぎました。
おじいさんが鬼でいいよもう
おばあさんのポテンシャルの高さ
流石に申しわけなくなったおじいさんは、おばあさんにプレゼントを贈ることにしました。物で解決しようとしました。
さんざん迷った結果、
おばあさんの好きな桃にしました。
もともとお金がなかったので、あげられるものはおじいさんの実家でとれた桃しかなかったのです。
甲斐性無しかよ
そういう男を選んでしまうのも女の能力よね
おばあさんは喜んで桃を受け取りました。
しかし、いざ口に運ぼうとした瞬間、
軒並みに男の子が倒れているのに気が付きました。
土気色の顔をした男の子に、
おばあさんは桃を差し出しました。
おじいさんから初めてもらったプレゼントを、
男の口に運んでやりました。
おじいさんはおばあさんの頬を流れる涙を見逃しませんでした。
おじいさんは少し真面目に生きようと思いました。
おばあさんぐう聖かよ
爺はこれを見て「少し」だからな
桃を食べ、元気になった男の子はおじいさんと
おばあさんに言いました。
どうか恩を返させてください
おじいさんは神妙な顔をして、
男の子の名と、行くあてはあるのか尋ねました。
太郎と名乗った男の子は恥ずかしそうに顔を伏せます。
おじいさんは太郎に言います。
子供がそんなことを気にするんじゃない。
お前はただ幸せになればいい。
おばあさんが太郎を大切にしたのだから、
自分も大切にしょうとおじいさんは思いました。
そうしなければ、おばあさんがやったことが
無駄になると感じたのです。
おじいさんは太郎を育てることにしました。
養育費は?仕事は?職歴は?学歴は?
婆さんに相談なしかよ
それから十年後。
なんやかんやあって、
村は飢餓にあえぐことになっていました。
畑は枯れ、家畜は鬼に全てもっていかれて
しまったのです。
荒れ果てた畑で育つのは鬼が島にある植物
しかありません。
それも鬼が独占しています。
このままでは隣の村のように、
全員飢えて死んでしまいます。
そこで太郎は立ち上がりました。
この村を救うために。
おお命知らず。ゲーム脳か?
さらっと隣の村全滅してんだけど
当然おばあさんは必死に止めます。
「何もおまえがいかなくてもいいじゃないか」
村人は言います。
「タロウは余所者だし死んでも構わないだろう」
「タロウに行かせよう」
おじいさんは沈黙しています。
そのまま立ち上がって村人たちには目もくれず
桃太郎のもとまでゆっくりと歩き、
桃太郎の目をじっと見つめます。
それから桃太郎を殴りました。
「親不孝ものが」
桃太郎の頬は赤くはれあがりますが、
桃太郎はおじいさんから目をそらしません。
おじいさんは桃太郎に背を向けて
「生きて帰ってこい」
そう告げました。
桃太郎は小さく、しかし力強く「はい」と言いました。
おばあさんはおじいさんを責めます。
何故とめなかったのかと何度もおじいさんの
胸を叩きました。
おじいさんには分かっていたのです。
いくら止めようと覚悟した男は止まらないことを。
おばあさんはタロウがいつか言った恩を返すといった
ことを諦めてほしかったと強く思いました。
明日の日の出前にタロウは村を出ることになりました。
おじいさんもおばあさんは少しでもタロウの生存率を
あげる為にあるものをつくりました。
どうのつるぎや僅かな金を与えるだけの
無能な王とは違うのです。
じじい成長したなぁ
もはや別人だ
つづく