茹だるような熱さの中で行われた告別式は、
参列者の死者を偲ぶ気持ちを薄れさせた。
それでも、俺は告別式に来た目的を忘れることなく、
死者の冥福を祈った。
今、俺が参列している告別式で悼まれているのは、
俺が勤めている中学校の生徒だった。
四日前、突然校舎の屋上から飛び降りたのだ。
公立の、特に不良が多いわけでも、進学校でもない、
普通の中学であるうちの学校では、創立以来の大事件となった。
遺書は見つかっておらず、自殺の理由もわからない。
気の弱い生徒ではあったし、成績もあまり良くなかったため、
将来を悲観しての自殺ではないかと、職員会議で推測された。
結局、生徒が自殺した木曜日とその翌日である金曜日は休校となり、
俺たち教員は、保護者や警察への対応に追われた。
警察も他殺の線は薄いと結論を出し、遺体が解剖にまわされることもなく、
日曜日である今日、告別式が行われた。
校長と教頭、それに担任の教師、そして俺が教員を代表して告別式に参列することになった。
告別式が終わり、火葬場に出棺されるまでの間に遺族への挨拶を済ませ、
俺たち教師は学校に戻ることになった。
まだ、教育委員会への報告や、保護者からの電話などの対応、
そういった仕事が山ほど残っている。
そういうわけで、休日を返上して学校で仕事をしなければならない。