ここ数日、面接の夢ばかりを見る。極めて、夢見が悪いといえた。これまでに職を求め、業種職種を問わずにあまたの門戸を訪ねてはいたのだが、ことごとく門前払いの憂き目に合っているのが原因だ。
不安が、門脇完爾の深層心理までもを蝕みはじめている。
学歴なし、こちらの世界での職歴もなしの三十三歳。強いて売りとなる事柄を上げるとすれば、健康であることと目立った賞罰がないことくらいか。
まともな経営者や人事担当者なら、まず採用しようとは思わない。客観的に見れば、完爾自身でもそのように判断せざるを得ない。
あまり大きな声でいえることではないが、完爾は十五歳、中学を卒業したての春休みからこの春まで、おおよそ十八年間に渡って別の世界に召喚されていた。そこであれやこれ、悲喜こもごもの濃い体験をしてどうにかこちらに帰って来たわけだが……こちらの世界から見れば、その間、完爾は行方不明になっていただけだ。
学歴も職歴も、つきようがない。
そんなわけで、完爾は……今朝も、面接の悪夢にうなされて、冷や汗をかきながら目をさまます。