パソコンを開く。
キーボードを叩かない日はない。
来る日も来る日も、無機質な合金の素材感を確かめるように、キーボードを叩き続ける。
叩いた分だけ成果になるような、そんな仕事。
それがIT戦士というやつだ。
パソコンを開く。
キーボードを叩かない日はない。
来る日も来る日も、無機質な合金の素材感を確かめるように、キーボードを叩き続ける。
叩いた分だけ成果になるような、そんな仕事。
それがIT戦士というやつだ。
社会人として働き始めて、はや5年。
無機質さに囲まれがちな毎日。
でも。そんな日々の暮らしのなかで、あたたかな安らぎを与えてくれる存在がある。
それが、コーギー犬・むぎさん。
2012年12月生まれの、現在2歳。男の子。
ワンコというのは不思議な存在である。
言葉は話さないけれど、辛いときは寄り添って励ましてくれる。楽しいときは一緒に喜びを分かち合うこともできる。
そして、キーボードを叩き続ける日々におけるワンコの
“モフモフ”
というものは、何物にも代えがたい。なんて。そんなこと思いながら。
今日もまた、私は自宅勤務と銘打って、ベッドの上でノートパソコンを広げて作業をする。
寝間着のまま、ベッドに足を伸ばして座っているという作業環境。どう見てもだらしない。そんな状況、傍目から見ればまさか“勤務中”とは思わないかもしれない。
しかし実際には、私の作業はかなり重いものだった。
自分の担当しているサイト運営の数値が芳しくないことを、社長に報告しなくてはいけない。
どう資料化してどう伝えたら、現状を正確に伝えることができて、そしてそれとなく私の考えも伝えることができるだろうか……
そんなことを考え込む、ちょっと心労が重なる状況。
そんな時、むぎさんがベッドにひょいと登ってきた。
この短足くん、自分の体高よりも高いベッドにも軽やかに登ってくる。
そしてひと通り寝間着をクンクンしたのち、私の伸ばした両足の間に収まってきた。
なんぞ、こやつ。
その裏返った姿は、まさにうちの“しろさん”。私の両足に挟まれて、ポカポカ気持ちよくなったのか、その状態でお眠りになられました。
寝顔がまた、見る価値のある仕上がりになるのが、彼の魅力のひとつでもある。そのまま静かに目を閉じて寝てくれたら良いものを、なぜか各所に問題が発生しはじめる。
まず口が半開きに。歯並びが良ければ特に問題ない寝顔になるのかもしれないが、むぎさんはいわゆる「アンダー」という状態。つまり、下顎の出っ歯だ。口を閉じているときは気にはならないのだけれど、こう、口が半開きになるとその出っ歯は顕在化する。それもまた、いわゆるブサカワだなあなんて、主としては親バカを発揮するきっかけになってしまうわけだった。
そして寝顔の問題はもうひとつ。なぜか、白目を剥いてしまうのだ。もはや、ブサカワだなあと褒めてあげないと悲しくなるくらいの顔面。幼いころからよく白目を剥いていたので、そういうクセなんだろうと思うことにしている。
つまり、簡単に説明すると、こういう顔。
こうしてそんなブサイクを足の間で発揮されるものだから、私は膝の上に置いていたノートパソコンをどこに移して作業をしたら良いかわからず、とりあえず寝顔を拝んでほっこりすることにした。
むぎさんの体温がポカポカと伝わってくる。
厳しい対応を迫られて、ちょっと眉間にしわが寄っていただろう私の顔も、今や笑いをこらえるのに必死。
もしかしたら、私のそんな緊張がむぎさんに伝わって、気を使ってこんなところで寝始めたのかな……? なんて。まあ、そんなことはないか。
あたたかな足元。
ほっこりしながら、ちょっと休憩。
そして、むぎさんが目を覚ましたのを見計らって、ノートパソコンをまた膝の上へ。早く仕事を終わらせて、散歩に行こう。
でも、早く終わらせたいっていうのに、膝の間からひょっこり顔を出されて、ぜんぜん集中できないのですが……