怒号、歓声、悲鳴。様々な声が飛び交うこの場所は天空カジノ。
飛行船に存在するこのカジノは世界で唯一の治外法権である。このカジノにはどの国の憲法、法律が一切適用されない。
そして代わりにこのカジノ独特の【ルール】がある。
ルール1.飛行船内での出来事の一切の口外を禁ずる。
ルール2.22時~23時までの殺人を禁止する。
この2つのルール以外であれば何をしても良い。もしルールが破られた場合、最初から存在しなかったことになる。
そして僕はこの明らかにヤバそうな飛行船に招待されてしまった。
遡ること数日前。
いつものように仕事から帰宅するとポストに一通の手紙が入っていた。
その手紙は黒く光沢がある手紙で、差し出し人の名は無く、表にロゴのようなあったぐらいだ。
開けるの少し躊躇うほどだ。
恐る恐る開けて見ると、説明の紙と何故か本名が既に記入してある1枚の招待状が入っていた。
正直怪しいし、行かないと思った。
だけど、物珍しさと好奇心が僕を駆り立てここまで来てしまった。
今更ながら後悔している。
手持ちは残り100万円。
こんな飛行船旅が最低でも3ッ月続くと思うと最悪な気分だ。
この飛行船は1Fが倉庫兼出入り口、2、3Fに客室があり、101号室から210号室に振り分けられてる。
4Fがレストラン、5、6Fがカジノ、7Fが展望デッキとなっている。
僕の客室は3Fの205号室だ。
部屋の中にはベットと小さなテーブル、それとメモ帳とボールペンが置かれている。
意外にも質素な部屋だ。
あまりにも暇なので僕は10万円を持ち、5Fのカジノに向かった。