会食の会場は、豪華な料理で埋め尽くされ
重厚な空気が漂っていた。

大臣たちが一列に並び
その先頭には威厳に満ちた総帥が座っていた。

燭台の灯りが静かに揺れる中
総帥が口を開いた。

その言葉に、宴の空気が一瞬にして緊張感で包まれた。國光は、軽く首を傾げながら答えた。

國光はそう言い放ち、
平然と料理に手を伸ばす。その態度に
大臣たちの間にもざわめきが生じていた。

その言葉に、大臣たちの間に再びざわめきが
走った。霊獣、それも魔狼が現れたとは…

魔獣の世界は、多層的な位階で構成されており
その中でも妖獣、邪獣、鬼獣、
そして最高位に位置する霊獣が存在している。

特に霊獣は、一般的には人間の目に
れることが少なく、その姿を目撃した者は幸運、あるいは不幸とされる。

特に、魔狼は霊獣の中でも異彩を放つ存在である、他の霊獣と比べても特に強大な
魔力を持つとされ、その力は自然界の法則さえ曲げると言われている。

魔狼の姿は狼に似ているものの、その体は
常に幻惑的な霧に包まれており
直接その全貌を見ることはほとんどない。

そのため、魔狼は神秘的な存在として知られ、
多くの伝説や物語の中にその名が刻まれている。

その強大な力にも関わらず、魔狼は通常、
人里離れた深い森や、人間の足が踏み入れない
神聖な場所に棲んでいるとされ、
自ら積極的に人間の世界に
干渉することは少ない。

魔狼がなぜ突然現れたのかについて
その理由は謎に満ちていた。

その頃、正門の裏側では、
タケルが長いあくびをしていた。

メイは、一日中何も口にしていないことに
気づいた。お腹が鳴る。
この空腹感が彼女に自分が生きていることを
強く実感させた。

その時、メイは突然何かを感じた。
はしゃぐタケルの後ろに、何かがいる。

暗闇に紛れるその存在はゆっくりとこちらに歩いてくる。人間とは違う、異様な気配．．．

いち早く気づいた翔太が声を張り上げ
2人の前に出た

魔獣は静かに、しかし確実に彼らに
近づいてくる．．．

剣を構える翔太とタケル

しかしメイは、異なる何かを感じていた

次の瞬間、その魔獣が猛然と襲いかかってきた
翔太とタケルはすぐに応戦するが、

魔獣は彼らの攻撃を軽々とかわし、
素早くメイの方へ飛び越えていく

「メイ！」翔太の叫びが響く。しかし
魔獣は一瞬のうちにメイを倒し
馬乗りになった

メイは身動きが取れず、全身が震えた。
魔獣の目は血走り、
口からは鋭い牙が見え隠れしていた
「グルルルル．．．」と
不気味な唸り声を上げている

しかし、魔獣は唸り声を上げながらも
ただ彼女を押さえつけているだけだった。

この恐怖の中、メイは冷や汗を流しながら
必死に逃げる方法を考えようとしていた。

その時、翔太が刀を握りしめながら
駆け寄ってきた

一太刀、鋭く振り下ろされる

しかし魔獣はそれをひらりとかわし
瞬間的に木の上に跳び上がった。

木の上から
冷たい目でこちらを見下ろしている

タケルは魔獣が出た合図を送る

一方、会食中の蓮にもその連絡が届いた。
蓮は「すぐに向かう」と言い

会場を出ようとしたとき、蓮の後ろから凌が一言
「今度は失敗しないでください」

蓮は凌の言葉に一瞬だけ目を細め
無言でその場を後にした

蓮の心に疑問が浮かんだ。本来、人間の住む
都までは来ない魔獣が現れたのだ。
昼間の魔狼といい、何かが変わっている

この世界に何が起こっているのか
その答えを見つけるのは彼らの使命となった

つづく