アレクは驚愕の表情でフェリックスを見返し
アレク、君の話はかわった。だが、君の忠誠心が、これほど多くの命を奪っているという事実に、目を向けてほしい。
私には成すべき事があります。
私をその人間がいる研究所へ連れて行ってください。
アレクは驚愕の表情でフェリックスを見返し
なんだと!
フェリックスは一歩前に進みながら、
確信に満ちた声で応じた
アレク、あなたも心のどこかで分かっているはずだ。これらの実験がいかに無意味なものかを。
私が、これに終止符を打とう。
疑念の影がアレクの顔を一瞬かすめた。
本当にいいのか?
はい。
フェリス、何を言っているのだ?ダメなのだ、危険なのだ!
ワトリーはフェリックスに抱き着いた
ワトリーに抱き着かれながら、その小さな身体が震えるのを感じていた。涙で濡れたワトリーの瞳がフェリックスを見つめていた
人間界にいくなんてダメ、戻って来れなくなったらどうするのだ?
フェリックスはしゃがみ込み、
ワトリーと同じ目線になった。
ワトリー、聞いてほしい。ミミちゃんが今、あの研究所で実験台にされているかもしれない。
孤独に涙しながら助けを待っているはずだ
ミミちゃんを見つけ出して両親のもとへ連れ帰らなくては
そうしないと後悔することになる。わかってほしい、これはただの願いじゃない。これは私たちの責務なんだ、ワトリー
ワトリーの目からはさらに涙があふれ出た。
だったらボクも行くのだ
ワトリー。これは危険を伴う事だ。万が一を想定して、ワトリーにはこの世界にいてほしい。
留守を頼のむ
フェリス...ウェーン
いいんだな、私は研究所に連れて行くだけだ、中の事は知らないぞ。
フェリックスは決意を固めてアレクを見上げ、
かまわない、私をその場所へ案内してもらおう
ワトリーはフェリックスの決断を感じたのか、
さらに強くしがみついた
つづく